シナリオを勉強していた時代、同じ教室で学んだ作家の方が亡くなったと噂で聞いた。


まだ若い。


ちょうど、昨日、その時代のことを思い出していたところだった。


私は「シナリオ講座」というところで、シナリオ作法を学んだが

50人ほどのクラスから、今でも生き残っている作家が5人も出た。

その確率はすごいと思う。


その中のひとりの方だ。


当時、映画ヲタクのような映画好きの青年たちの中で

私は浮いていたし、落ちこぼれだった。


すでに母親になっていたし

結婚という制度をとらずに母親だったし。

その上「映画」はほとんど無知。


映画館のないところで育ったこともあった。


かろうじて、みんなよりよく知っているのは役者だったから戯曲かな。


映画の会話についていけない自分にジレンマを感じながら

だけど、心の底では自分の可能性を信じていた。


書いたものに手厳しい批評を率直にする

とてもいいクラスだったけれど、

その中で、常に加減のないアドバイスをするのが、その人、だった。


ずっと、怖い人だと思っていたけれど

互いにプロの作家になって再会したら

情熱があるだけで、優しい人だった。


先日、亡き父が書いた小説の生原稿を見つけた。

結局、作家にはなれなかった父。


でも、書いたものって、

亡くなったあとも残る。


そしてそこには、精神性をこめられる。


「書く」ってすごい、と思う。

それで、自分の思いを誰かに遺していけるのだ。


彼の遺志は、作品の中に残っていく。


突然の知人の訃報に

こころ揺れながら、いろいろ、思う。


明日、肉体を脱いでも

悔いのないように、今日を生きよう。


Nさん、心からご冥福をお祈りします。


あなたの熱さが、怖くもあり、好きでした。