こんにちは、リキュウコートです。 #158
今回も動画の解説を行います。
今回の解説は前回の続きで、実際の施工の模様について解説したいと思います。
15年以上の経年車で178,000㎞走行の、何等かの塗装の不具合により塗装全体の艶・光沢を失った車の全体磨きについて解説します。
前回も言いましたが、仕事としての依頼では最高の経年車の磨きになります。
直接には聞いておりませんが持ち主の方が愛着を持ち、新たな気分で継続して乗りたいとの要望により、後方部の板金塗装修理を機会に全体磨きを希望したそうです。
愛着を持ち大事にしている事は内装の状態を見れば一目瞭然でわかりました。
決してお客様には非の無い事ですが、磨く側としては通常よりもハードルが高い磨きが必然的に要求される仕事です。
それは板金修理で塗装を塗り直した状態に合わせるという事は、新車の状態に仕上げるのと同様の意味を指すからです。
作業前の現状は塗りたてのピカピカの塗装と、15年の劣化で光沢を失った差が歴然で、まるでビフォー・アフターのような状態になっています。
以前に板金塗装を行っていた経験上、この状態で作業を完了する修理業者に対して首を傾げてしまいます。
いかにも此処まで修理しましたよ!と言わんばかりの仕上がり仕事ぶりです。
余談は此処までにして解説を始めます。
最初は車の顔となるボンネットパネルから磨き作業を始めます。
※ 車の顔と言える光沢を失ったフロントマスク
上向きのパネルなので一番劣化が激しく、また車自体を表す象徴的な部位の為に私の場合はいつもボンネットから磨くようにしています。
本当はボディ全体を万遍なく均等に磨く事が大事なのかも知れませんが、ボンネット・フロントバンパーのフロント部分を特に際立たせるように磨く事を心掛けています。
その意味でも、側面よりも1.5倍は手間も時間を掛けて磨きます。
動画でもボンネットを磨いていますが、洗車でも落ちない不純物であっても、マルチコート剤のクリナー効果で分解・軟化が瞬時に行えるので時間も掛らずに除去は簡単に行えました。
ただ、今回の磨きを動画で見ていても判る様に、長年の不純物が一気に軟化し掻き取る為に通常以上に、除去された汚れが再び張り付くところが確認できますが、今回はギヤアクションサンダーの回転運動で簡単に除去出来ましたが、塗装の状態や汚れの種類によっては、塗装面に焼き付いて除去しにくくなる場合は、決して無理をしない様にマイクロクロス等で取り除く事をお勧めします。
今回はウールバフのみの磨きですが共通して使用しているのが、少量の水の撒布です。
強いコート成分の浸透を行う場合は水で薄まってしまうのですが、最初の汚れが多い場合では、汚れが焼き付かない様に少量散布する事がポイントです。
前回も解説しましたがこの塗装には何等かの不具合が生じている為に、除去後もコート成分の浸透をいつも以上に行う事が必要になります。
通常の症状であればウールバフ磨きを一回行えば除去と浸透(光沢補修)が行えるのですが、今回は症状が重いので塗装への吸い込みを加味して2回磨きを行う必要があります。
一回目は不純物の除去に消化せれてしまうので、二回目の磨きでコート成分の浸透に全てを消化させるという磨き方です。
今回の症状ではボンネットや傷やシミがある場所などでは3回磨きを行う場合もありましたが、その他の部位では2回磨きを行うことで新車と同様の光沢に近づきました。
依頼の基である板金修理で塗装を塗り直したリヤフェンダーと15年の経年で光沢が減退したリヤドアもウールバフの2回磨きで同等の光沢に復元出来ました。
※ 最塗装後のリヤフェンダーと今回の磨きで復元したリヤドア
今回は、マルチコート剤の実力が示せる車だったのですが、天候が悪く綺麗な撮影が難しかった事と、マルチコート剤だけで車丸ごと磨くという各素材の磨きが撮影できなくて残でした。
※ 素材自体の不良?15年の経年劣化で不純物が吸着したバイザー
※ ウールバフのみの磨きで復元したバイザー
雨よけバイザーは前回紹介しましたが、他にもメッキパーツのフロントグリルもメッキ特有の錆びが目立っていましたが、完全除去は出来ませんでしたが、かなり目立たなく改善出来ました。
車丸ごとと言いましたが、これは不正確で実際に修復出来なかったパーツがあります。
フロントガラス下のワイパー取付け部にあるカウルトップという未塗装樹脂のパーツとモールでは磨きさえも行わないで諦めました。
劣化が酷過ぎて、対応が出来ない事が分かっていたので作業を始める前に諦めました。
この部位は改善出来ませんでしたが、その他のパーツは全てマルチコート剤のみで修復しました。
最後に今回の15年の経年車の磨きで、マルチコート剤が一番効果を発揮した事を解説します。
コンパウンドでの削る磨きでも今回の不純物の除去は可能ですが、塗装自体に不具合がある症状では除去だけでは根本の改善にはなりません。
また今回の様に15年の経年劣化は、不具合には関係なく塗装自体が劣化するものです。
コンパウンドの削る磨きでは塗装を研磨し平滑にしますが、素材自体が経年劣化している為に新車の様な光沢は復元しにくいと思います。
マルチコート剤は、不純物の除去後にコート剤の樹脂成分を劣化した塗装内部に浸透させる事が出来るので、塗装を塗り直した光沢と同様の光沢・仕上がりが望めるという事が、コンパウンド磨きとの一番の違いです。
このコンパウンドの削る磨きの光沢とマルチコート剤の浸透の光沢は、劣化に関係なく仕上がりの違いが見られますが、今回の様な劣化した塗装では著しい違いが見る事が出来る事をお伝えして解説を終えたいと思います。
※ マルチコート剤のみで下地処理された完成車両
次回は、ウールバフ磨き後の工程のスポンジ磨き・トップコートの施工について解説したいと思います。
https://ameblo.jp/rikyuu-coat/entry-12627196926.html
今回のウールバフの仕上がり具合と、どの程度向上・変化するのか解説したいと思いますので是非ご覧下さい。
最後までお付き合い頂き有難うございました。
気になった方はサイトも覗いてみて下さい。