10歳児の悟りと悩み | ボクシングと総合と時々タイ語inバンコク

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りくと12歳。言葉の通じないタイ人に囲まれ練習に励む日々。タイのジムに出稽古に来る日本人プロボクサーにたまに会えるのが彼にとって大きな喜びだったが、コロナで2年半一時帰国も出来ない状態に。
学校でさえ行けない日々が続いたが、海外で細々と練習を続けている

〜世界の壁を気付き、その差に悩む10歳児〜

りくとは学校で色々な国籍の子供たちと過ごしている。
肌の色はもちろん、髪の色や瞳の色など、人それぞれ全然違っている。
物心付いた時からそんな環境に身を置いている彼にしたら、
そんな違いは当然であり、普段は全く気にしていない。
 
ただ、今彼が真剣に悩んでいる事こと…
それらの違い(肌の色の違いなど)が運動能力に大きく影響しており、
しかもその運動能力は生まれ持ったものであり、どれほど頑張っても埋め切れないほどの差であること…
りくとが言うには、
筋肉の付き方からして全然違うという。
10歳児であれば、まだ年齢的に筋肉は付かないと思うが、同じクラスの男の子たちで、びっくりするほどのマッチョboyがいたりするらしい。
 
例えば、
腕立て伏せを、より多くの回数を平気でこなしたり
どんだけ頑張っても走る速さが雲泥の差だったり
どんな競技でもちょっと練習しただけで、あっという間に上手になったり
特にスポーツをしていない子と比べても、こういう差になってしまうらしい。
「なんで毎日あれほど練習している僕の方が筋肉無くて、運動も下手なんだろう?」
と、彼が世界との差を悟るまで、よく言っていた言葉だ。
(悟りを開いた今はもう言わない)
ちょっと可哀想だが。。。
 
これらの差は大雑把に言うと…
アジア圏と欧米では全然違う
そして
肌の色で、更にまた大きく違う
(これらのことは、りくと自身が日々実感して言っていた言葉)
そういえば2年ほど前、ある日突然に、
「僕には世界は難しいよ」
「アジアならいけるかも」
と言っていた。
今思うと、8歳ぐらいの時から薄々気付いていたようだが、
あなたねぇ、『アジアならって』そんなん言うけど、君には道場やジム内でのスパーリング大会でさえも優勝するのは無理ですから!
と思ったけど、子供の夢を潰せないので、声に出して言えなかったポーりくと。
「人と比べなくても良いんだよ」
と、慰めたが、
「だって、僕がやってる習い事って、全部一対一で闘う競技じゃん、必ず勝敗が付くんだから比べて当然でしょ!」
と、答えるりくと。
(何も言い返せなかった親父…ガーン)
(先日学校で行われたバスケットボール大会)
一番右の一番小さいのがりくと
同じ学年だが、皆と身長が頭一つ分違う…
これでも日本の10歳児の平均身長なんですが。。
 
とある格闘技で、
『日本だけでしか戦ってないのに、なんで世界チャンピオンなの?』と不思議がる。
アジア圏の選手が、何故に中量級以上から極端に世界のベルトを取りにくくなるにかを既に十分理解している。
他の格闘技などで『世界王者』や『世界チャンピオン』と呼ばれる格闘家がいても、
その競技が真に世界を舞台としたモノではないことにも気付いている。
メイウェザーのようなディフェンス技術を習得することや、
リゴンドーのようなステップを踏むことが、
日本人には非常に困難だということも分かっている。
 
ボクシングはウエイト制の競技、
なので体格差は関係ないと、理解はしている…が、
体格差だけではなく、そもそも埋めることが難しい絶対的な大きな差が存在することを…
気付いた。
10歳にして既に世界の現実を知り、
その世界との差に、もう愕然としてしまっていることに、
ちょっと可哀想になってしまった。。。
by ポーりくと
今週末、選手層の厚い階級で、しかも本場アメリカで挑戦する中谷正義選手
相手選手強いですが、頑張って欲しい!