囲碁の解説を聞いていて、
ずいぶん長い間、理解できなかった言葉は「味」。

囲碁ではよく「味がある」とか「味がない」とか
「味つけ」とか、「味消し」とか、言いますね。

この頃、完全には理解できないながらも
ちょっとはそのニュアンスがわかるようになってきた、かな。

わかる(ような気がする)ようになると
自分の対局も、
わからなかった頃よりも確実におもしろくなりました。

で、

李世ドル九段 対 ALPHA GO 各対局
現地解説のマイケル・レドモンド九段と司会者が
15分間で解説したものがYou Tubeに上がっています。

これが大変おもしろいです。
なにがって、囲碁の解説を聴き慣れていると
すごく英会話が聞き取れる気がする!

盤面を見て
「だいたいこんなこと言ってるな。」と
思いながら英語を聞くので、
あと、たぶんマイケル・レドモンド先生の英語は
日本人にはとても聞き取りやすいので、
「わたしってこんなに英語聞けるの自慢げ うふふ。」

こんな楽しみ方ができるのも、
第4局で李世ドル九段が勝利して
心の余裕ができたからだなあ。

で、英語による囲碁解説で使われる囲碁用語
で、わたしが聞き取れたものの中で
おもしろかったものや、なるほど~と思ったものです。

このあたりに多少の味がある
There is sort of Aji here.

  「味」は、そのまま "Aji" でした!

部分的な判断
positional judgement.

ここに利きがある
forcing here

 「利き」も、ひと言では説明しにくい考え方ですが、
 意味合いから表現すると、確かにこんな感じになる。

スベリ
slide

 そのままだ。

白はハネ1本で隅にまわった。
White plays one hane and then switched to the corner.

 って日本語では言いますね。
 「ハネ」の単位は、なぜ「本」なのか。

必然の一手
must move

 「この一手」って言いますね。

黒の想定範囲内
within what black was sort of expecting to happen.

 なるほど、そうやって言うんですか。

losing move
敗着

 がっくり。

ツケ
attachment

 そのままだ。

見合い
interchangeable points

 意味から言うんですね。わかりやすい。
 
初心者教室では、なるべく囲碁用語はそのままでは使わないようにしています。
日常会話には出てこない言葉が多いし、
面倒なのは、
日常会話に出てくる言葉と同じだけど、
囲碁では意味がちがう言葉も多い、ので。

教室で囲碁用語を使うときは、
意味も一緒に説明して、
できたら用例も(盤面を使って)紹介して、
大人の教室の時には、漢字でも書いてお見せします。

最近の囲碁の本では、囲碁用語は
(たぶん、日常用語との区別を示すために)
カタカナ表記にする習慣になっているのですが、
そのためかえって元々の意味がわかりにくいことがあります。

例えば、「ツケ」は「くっつける」意味の「ツケ」ですが、
意味がわかっている人が「ツケ」と書いてあるのを見れば、
石をくっつけていくイメージが浮かぶけど、
初心者にはそれが浮かんでこない。
飲み屋のツケのことなんか考えたりして。

それから「ハイ」は「這い」ですから、
漢字だったら低く這いこんでいくイメージが浮かびやすいですが、
カタカナだと、英語で「高い」の「ハイ」と区別がつきません。

わたしは最初、「ヒカルの碁」で佐為が
「ハイですか!」と驚いたシーンで、
さぞかし高く打ったのであろうな、と
思ってました。
(「"High" ですか!」だと思った)

「見合い」もだぶん男女のお見合いがまず思い浮かびますよね。
本来の意味合いは一緒だけど、
囲碁では男女は関係ない。

そこで英語の囲碁解説の表現を知ると、
異言語を翻訳しているために、かえって
同音異義語や同語で別用法の言葉のイメージに
ひきずられることがない。

元々の意味から表現しているものが多くて、
初心者教室での言葉の説明にぜひ参考にしたいと思いました。

がんばって15分解説をもっと聴きますむん!

今日の荒川区囲碁同好会の対局場は
東日暮里ふれあい館の洋室1,2です。

雨ですけど、たくさんのご来場をお待ちしています。