母ちゃんの転院先が決まった。


自宅から車で10分ほどの頑張れば 
歩いても行ける市内の総合病院だ。


ここはリハビリの専門病棟も有り
循環器科、脳外科、心臓外科等も
有るので、大病後の受入れ先として
ひとまずは安心だ。



現状の妻は筋力・体力がほぼゼロなので
日常生活の細かな動作・作業などは
一切出来ないので、 
転院してからは家に戻る為に必要な
一切合切のある意味厳しい
訓練・リハビリが始まる訳だ。


ひと月ほど前に人工呼吸器も外れ
急性期を逸した時に

生涯歩けないと言われた妻だが
そんな戯言を覆す様に
転倒の恐怖と戦いながら
奇跡の復活に向けて
少しずつ歩み出している。


面会に行く度に『ヨイショ』をして
何とかその気になる様に促していたが
昨夜、ベッドの脇の備え付けの
ポータブルトイレの便座から
転落して自力では起き上がれず 
看護師に叱られたらしい。 


確かに不慮の転落事故は怪我に繋がるので
不用意に動くべきではないが
自分でやろうとする思いが先行しなければ
復活は無いと思っているので、


当然看護師はうるさいだろうが
そんな事にはめげずに 
出来る事から自立に向けて  
一歩ずつ歩んで行って欲しいと思う。


今週末は三連休なのでその間
リハビリは無いが 
今日主治医から休日でも
何らかのリハビリをする様に
言われたみたいだが
『看護師にまた叱られる』と
尻込みをしていた。  


転倒が怖いので自ら歩こうとはしないが
まだ許可は出ないものの
杖が有れば往復数十mの距離なら
往復出来るはずだ。


昨夜の便座転落事故で
気分的に若干後戻りした感が有るが
そんな事など、ドンマイドンマイ 
妻も『昭和の母ちゃん』なのだから
是が非でも『イケイケ、ドンドン』で
頑張って貰いたいものである。
最近の妻の現状だが
良く笑う様になった。


特に『借金』以外のお金の話なら
喜んで耳を傾ける。

実に現金な話である😅





私は的屋には属さないが

しがない場末の露店商だ。



それが為に生活が安定せず

家族には多大なる迷惑を掛けて来た。

何を今更な感が強いが 

そんな浮草生活に後悔は無いが

家族には済まないと思っている。





稼ぎのメインは近隣の市町村の
市民まつり等のイベント出店が主となるので
その店出しは週末土日、祝祭日に 
限られる。


だから週末・祝日以外の平日は

まったりと

遊んで暮らしていると思われがちだが

それは大いなる間違いだ。



店出しはイチイチ面倒臭いが

『売』あっての商売なのだから

商い行為は必須で外せないが

我々の商売は店出しよりも寧ろ

『売』を行う為の下準備こそが

仕事だと思っている。 


 





だから妻が病に倒れる前までは

二人して日がな一日

ながらながらの連続ではあったが

コツコツと下準備をしていた訳で


妻が倒れて以降は妻の病状の到達点が

不明だったので、倒れた8月9日を境に

少しでも治療費をプールする為

当面仕入の大半をストップしている。






それでも今仕事が出来ているのは

妻が沢山の商品をこさえてくれていたからだ。



更には妻が単独で店出しをする為の

景品・商品を整理整頓して

ストックしてくれていたお陰である。





で、痛恨の8月9日以降の店出しは
私一人で参加している訳だが
一人だと1時間当りの接客数も半減するので
単純計算で妻がいた時と比較すると
売上は半分位か。

まぁ、良く頑張って7割が限界だろう。





ほぼ無くなっている景品だが
半数は妻の持ち分だ。


で、この売上、
最近は私一人が売り子な訳だが
売上に貢献している景品の半数は
妻の管理商品なので
その分に関しては正しくは
妻のものなのである。


それなのに恩着せがましく
最近は面会に行く度に


『俺の稼ぎ』と足し無い年金で
お前の医療費は賄ってやる

と、大見栄を切っているが

実際の所、この2ヶ月の売上の半分は
元々が妻の物なので、実際の所
大見栄と言うよりは
大噓付きと言われても
仕方が無いのである😓


明日は10月9日なので
母ちゃんが病に倒れてから
2ヶ月が経とうとしている。 






ひと月前と言えばようやく
意識不明から脱出して、
昼間は人工呼吸器無しでも
過ごせる様になった。


しかし色々な管に繋がれていた為
『四肢麻痺』のその両手すら
ベッドに縛られ抑制されており 
こちらから話す事は大方理解していたが
現在、過去等時系列的な話には
首をひねる事も多かった。


しかし、最近では当初は興味を示さなかった
テレビもしっかりと観ている様で
時の話題、週末の天気等
時系列的な話も出来る様になった。 


相変わらずカニューレ装着のせいで
咳・痰には往生こいている様子だが
それでも日増に母ちゃんらしさが
戻って来ている様で
何とも嬉しい限りである。 


まだトイレに関しては
ガッツリ『リハビリパンツ』着用で
もよおした時にはナースコールで

看護師さんを呼んではいるが


筋力・体力こそゼロなるものの


それでも地に足を着けて

一人で立てるようになり

いわゆるへっぴり腰ではあるが


リハビリパンツの上げ下げも

何とか自分で出来る様になった。



『失語症』と握力ゼロで

文字が上手く書けなかったり

身体が上手く動かずとも

相変わらず医療関係者の前では

無愛想だが家族の前では

良く笑う様になった。



そして、ほんのつい数日前の事

私たち家族が心待ちにしていた 

スマホのラインを見れる様になり

短い文章では有るが

ラインを送る事が出来る様になった。



まだ3週間ほど前までは

『平仮名表』を使っての

意思表示すら出来なかったので

それを思えば大きな大きな進歩である😊





最初期の筆談。
ほぼ、解読不能であった😅



今も妻はカニューレ装着で喋れ無いので
妻との意思疎通はもっぱら筆談だが
これとて最初は全く解読不能だったが
今では大方の事は理解出来、
筆談にて普通に会話出来ている。



妻が一般病棟に移された後の約ひと月間
意識が戻る前から早々と
高次脳機能障害が必至と断言された
妻の様子を毎日面会に行き
注意深く観察して来たが
幸いにして意識の方は完全に取り戻した様で
こちらの話も100%理解しており
いわゆる『倒れる前』の母ちゃんに
戻りつつある。


とは言っても当事者である妻に取っては
本格的なリハビリが始まる 
これからが大変な時ではある。


妻の心中は計り知れないので
不要不毛な発言は慎むべき
と考えているが
妻の表情が少しずつ和らいで行き
倒れる前の母ちゃんに戻りつつある事を
心から感謝したいと思う。


オタマじゃくしならぬ『母ちゃん』じゃくしは
まだ手も足も生えてはいないが
病床で泳ぎつつある😅



医者からは許可は出ないだろうが
その『泳ぎたい』気持ちを糧にして
筋力体力ゼロの不安など
吹き飛ばしてしまえ!!


また一歩、もう一歩と前進有るのみだ。