2日連続の救急車騒ぎを記録しておこう。
夕食も済んだ夜の8時にダンナの携帯が鳴った。「すぐ行きます」と出て行ったダンナがなかなか戻ってこないので、これはアパートの住人からの連絡に違いないと思って様子を見に行った。
案の定、トラブルの多いオッサンの部屋の前で、これまたトラブルメーカーのオバハンと、ダンナの3人が集まっている。
≪住人Aとか住人Bと記してもいいのだが、2人には散々迷惑かけられているので、オッサンとオバハンというちょっと品のない呼称を使うことにする≫
オッサンは60代前半でオバハンは50代半ば。とにかくこの2人の住人がしょっちゅうダンナを煩わせている。
ウチのアパートは8戸のワンルームが並んでいて、その住人の半分は障害を持っている人や生活保護を受けている人で、様々な訪問介護の人が出入りしている。
そのオッサンは少しは歩けるが外出での移動は電動車椅子で、その車椅子には2本の旗(日本と某国)をはためかせいる。学区外までも遠征したりしているので、その人の事が話題になると「ああ知ってる」と、巷では知られた存在の様だ。
5年ほど前、このオッサンが入居するときに、車椅子のためのスロープを階段の横に50万円かけて設置した。
このオッサンが去年あたりから何かとウチのドアホンを鳴らすようになった。オッサンの訴えは「ガスがつかない」とか「水が出ない」とか「カギを失くしたので部屋に入れない」とか…。朝の6時に来ることも。
ガスの点検をしてもらったが異常はなく、「つけっぱなしにしていたので元栓が落ちたのだろう」とガス管理の人。水に関してはレバーをお湯に倒したままだったようだ。部屋に入れないからとマスターキーを持って部屋を開けに行くとカギはかかっていなかったり…。
ダンナも、ガス騒ぎ以来、認知症を疑い初めて気を付けていた。4月だったかコロナで自粛が求められていた頃に、オッサンの親しい友人が事故で急死して以来、症状が一気に悪化したようだった。
アパートの横のお店に迷惑をかけたり、はたまた下半身スッポンポンで車いすに乗っているのを近所の人が見つけてウチに知らせに来たり…。
ダンナが、オッサンの保証人である息子に連絡をして現況を伝えても様子を見に来ることも無い。いつからか見知らぬ訪問介護の車が停まるようになっていたので、誰の介護か尋ねてみると、そのオッサンだった。
その業者と話してみると、日中だけの訪問なのでオッサンのさまざまな異常をほぼ知らず、介護以外は何を決める権利も無いようで、動かせるのは県の保健センターということだった。ダンナはそこにも連絡をとって現状を伝えた。
このオッサンは身体障害だけでなく、精神疾患での入院歴もあるらしい。お役所がそうさっさと事を進めてくれるはずもなく、たまに少しまともな時もあるので、現状維持のままウチのアパートで暮らしている。
オッサンの説明が長くなったが、このオッサンが「アパートの部屋の前で車椅子に座ったまま動かない」と、3件隣りに済むトラブルメーカーのオバハンがダンナに連絡をしたのだ。
このオバハンは、酸素ボンベをつけて歩かなければならない難病を持っている。ウチのアパートには去年の年末に越してきた。
ウチのアパートの部屋が空くのをずいぶん長い間待っていて満を持して移ってきたのだ。後でわかったことだが、5件隣りに住む全盲男性の近くに住みたかったらしい。
このオバハンについては、考えるだけでも、思い出すだけでも腹立たしいことばかりなので、詳細はパスすることにする。だからここでは怒りを込めてオバハンと呼ぶことにしているのだ。
話を戻す。
部屋の前で車椅子に乗っているオッサンのそばにダンナが立ち、オッサンの前でオバハンが何やらしているのが遠目に見えた。
「どうしたん?」と近寄っていくと「○○さん(オッサン)に呼びかけても何の反応も無い」と言って、オバハンはオッサンのバイタルを測っていた。熱もバイタルも正常範囲だったので、熱中症ではなさそうだったが…。ダンナはそのオバハンのやることをそばで立って見ていた。
〈素人が数値を確認したところで何ができるわけでもなく、こんなデブのオッサンを、本人が目ぇ覚まさん限り部屋へも戻すことができひんのに、何を素人がチンタラやってるんや!)と心の中で叫びながら、「救急車呼ばんと…」と携帯を取りに家へ戻ってすぐに119番した。
現場に戻って電話で救急の窓口に状況を説明したら、「つねってみてください」というのでオッサンの腕を思いっきりつねったが反応なし。「頬っぺたはどうですか?」というので、汗まみれの脂ぎった顔を思いっきりつねったら、少し顔をしかめた。
救急車が到着して、ダンナはオッサンの資料を取りに家に帰り、私はオッサンの携帯に登録してあった息子に連絡した。電話には出ないので、『父親のために救急車を呼んだので連絡するように』とショートメッセージを送った。
ほどなく連絡が来たので隊員にスマホを渡して直接話をしてもらった。訪問介護にも連絡を取ったが、夜の10時にならないとスタッフが駆けつけられないが、後で病院のほうへ行くということだった。
救急車に乗せるまで目を覚ますことは無かったが、重篤な状態ではない印象だった。あとは全て救急隊員と介護の人に任せて帰宅した。
余談:
オバハンがオッサンのバイタルなど測っている時に、私の姿を見つけて、ダンナに「あの人誰?」と聞いたらしい。ダンナが「ウチの家内です」と答えると、「私、あの人苦手や」と急に片付け始めたということだ。
私が近くまで来て「いろいろありがとうございます」と言っても、私と目を合わせることもなく、急いでバイタルなどの機器を片付けて、そそくさと帰って行った。
アパートの隣のお店の奥さんとは同じ町内で長年仲良く付き合ってるのだが、このオバハン、「客がうるさい」とエラそうに怒鳴ったらしく、奥さんは「眠れないくらい腹が立った」と言っていた。
実は私も「許せへん!」と眠れないほど腹を立てたことがあったのだが…。私が大家さんの妻ということを知らなかったようでもある。
私が苦手?大いに結構!救急車騒ぎで思いがけない収穫。