どの作品も面白そうだなぁと思いながら、今まで何となくご縁がなかった三浦しをんさん。
今回初めて読んでみましたキラキラ

選んだ作品は、
『神去なあなあ日常』
なぜこの作品にしたって?
ポイントキャンペーンで還元率50%だったんだもん笑
これもまた電子書籍の面白みのひとつニヤリ




やりたいことや将来の夢もなく無為に日々を過ごしていた平野勇気。


高校を卒業したら適当にフリーターで食っていこうなんて軽く考えていたのに…

なんと母と担任が結託して勝手に就職先を決めてしまった!


その仕事とは林業の研修生。

三重県にある神去村に住み込みで1年間林業の実習を受けるというもの。



やって来た神去村は、店も遊ぶところも携帯の電波もない山奥。

逃げ帰りたくなる気持ちと戦いながら、勇気の林業人生が強制的にスタートします。


しかし日を重ねるにつれ、次第に神去村、そして林業の魅力にハマっていく勇気。


研修期間ももうすぐ終わりという頃、勇気は、神去村に来てからの1年間を振り返って、誰にも見せるつもりのない手記を書き始めるのです。




お仕事系の小説やドラマは数多くあるけれど、林業というのは新鮮です。

日本の国土の大半を占める山林。
しかし昨今、人の手が入らず荒れてしまう山林が多いと聞きます。

良の質の良い木を育てるには手間暇がかかるうえに、安い輸入材に押されて需要が落ち込む。
若い後継者もなかなか育たない…
と、なかなか厳しい状況に立たされている林業ですが、魅力もたくさんあるのです!
そんな林業への応援歌のような物語です。


勇気が神去村にやってきてからの一年を時系列で描いていきますが、なにげない日常生活に時折事件が起きる、この緩急の付け方が何ともうまい。

子どもが行方不明になったり、山火事が起きたり、想像以上にしっかり「事件」です笑

人々の日常生活も、季節ごとの森での仕事の記述から、移り変わる里山の自然と年中行事がバランス良く散りばめられて、ハレとケのめりはりが効いています。

田舎にありがちな濃密な人間関係とその裏返しの排他性などもしっかり描かれます。


山奥で自然と共にある暮らし、
というのはどこかノスタルジックな魅力を感じさせます。
でも、安易に、
こんな生活憧れる〜
なんて口にできないような、厳しさもしっかり描かれていると感じました。

わたしは神去村に住んでみたい!とはなかなか言えないかなぁ(^^;;
自然と共に生きる覚悟もないのに、自然が好きとか山が好きとか軽く考えてしまう自分の浅はかさを突きつけられたような気もします。


続編にあたる『神去なあなあ夜話』で勇気と神去村の人たちのその後が描かれるようなので、そちらも読んでみたいですニコニコ

この作品を原作とした映画『WOOD JOB!』も面白かったです映画


【書誌情報】
『神去なあなあ日常』三浦しをん
徳間文庫、2012(電子書籍2013)