ジャンルとしては、一応"スパイ小説"なのでしょう。
ただし、とぉっても異色のスパイ小説なのですびっくり


タイトルにもある「おばちゃま」ことミセス・ポリファックスがこのシリーズの主人公。

いきなり脱線しますが、この「おばちゃま」って訳語が絶妙ですよね!
可愛らしさとか茶目っ気がありながらも上品な感じ。

訳者の柳沢由実子さんのセンスが素敵です。
翻訳って、ただ"日本語にする"だけではダメなんだなぁと感じるところです。


さて、ではその「おばちゃま」とスパイとの関係やいかに!?

ミセス・ポリファックスは、アメリカはニュージャージー州に暮らすごくごく普通のマダム。
息子娘に孫は3人、地域のボランティアやらガーデンクラブやら、一見人生を謳歌しているように見えます。

ところが、ポリファックスはそんな平凡な毎日に退屈してしまうのです。
もっと人の役に立つ生きがいが欲しい!と。
そんな時、彼女のかかりつけの医者が彼女に言います。
「昔からやってみたいと思っていたことはありませんか。」

ここからは怒涛の展開です。
あり得ない!って思っちゃうのはつまらないウインク


ポリファックスは、子供の頃からの夢を叶えるべく、ワシントンに向かい、地元の選挙区の下院議員に紹介状を書かせ、CIA本部に乗り込み、何とスパイにしてくれと直談判をするのです!!
しかも手違いから、"旅行客に扮した運び屋役のエージェント"を探していたCIAのカーステアーズ氏の目に止まり、採用されてしまうのです!!

そうして彼女はCIAのスパイとして、内容は簡単だけど重要な任務を帯びて、メキシコへ旅立つのです飛行機
そして、素人がゆえの無邪気さと持ち前の人柄でもって無事任務を完了させてしまうのです爆笑


と、さらっと書きましたが、実際は、謎の男共々アルバニアに拉致され、牢屋に入れられ、決死の脱出、断崖絶壁、カーチェイス、ドンパチ…と、生きるか死ぬかの窮地の連続の逃避行ガーン
ジェームズ・ボンドばりのアクション満載です。

このあたり過激な暴力描写はほぼなく、シリアスだけどどこか可笑しく、ワクワクする冒険小説感覚で楽しめますキラキラ

作者のドロシー・ギルマンさんは、もともと児童小説の作家でした。
こどもでも安心して読めるスパイ小説、ここに爆誕爆笑


ミセス・ポリファックスと今回の冒険を共にした、謎の男ジョン・セバスチャン・ファレルは、この後のシリーズでも準レギュラーとしてたびたび登場することになります。
わたしのイチ押しキャラクターで、是非とも一言触れておきたかったからここで言う照れ

ちなみに、彼が親しみをこめてミセス・ポリファックスに付けたあだ名こそが「おばちゃま」なのです。


余談ですが、わたくし毎回、脳内映画化再生して読んでいるのですが、勝手にキャスティング考えるのが楽しくて(^o^)
おばちゃまはやっぱり、メリル・ストリープさんかなぁラブ
妄想族同志の皆さん、素敵なキャスト案大募集です(>▽<)ノリ



【書誌情報】
『おばちゃまは飛び入りスパイ』
ドロシー・ギルマン
翻訳 柳沢由実子
集英社文庫、1988(原著1966)
ISBN4-08-760154-4