アーサー クラーク 「幼年期の終わり」 | 生きてる缶詰

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柄にもなく古典SFも読んどこうと思い幾つか買っておいたのを最近読み終えた。

アーサー クラーク著 「幼年期の終わり」

ふと地球にやって来た超巨大母艦群と、搭乗する未知の人々。
彼らの地球人への関わり方は奇妙なものだった。
一定の距離を保ち過干渉にも寄らず、暴徒たちをも見過ごしつつ、かといって与えるものは与え。
「オーバーロード」と呼ばれる事になった彼らは地球人の何かを観察してるよう。

主人公役も次々とリレーされたり、なんとも妙な読感だ。
のちに1人の無鉄砲な男が艦に侵入し、可也の物を見聞きすることで読者のもやもや感は補完されていくんだが。
その彼と、彼のもくろみを後押しする偏屈な教授との間に芽生える奇妙な友情のようなものが描かれる場面があり、そこが随一グッとくる。


このオーバーロード達の謎を究明して大団円って話なのかなぁ、、、と思っていたが
話の焦点はむしろ地球人の将来像の方にこそあったのだ。
地球人はある時点で ドえらい事になる。

なにも地球本体がああならなくても良かったのにって思うんだが。
この結末はある意味悲劇ではある。また逆のようでもある。この読後の遠大な乾いた空虚感はなんだ。
ちょうど「蜘蛛の糸」の御釈迦様の心境ってこんな感じなのか。

でっかい話でした。