[悪魔が来たりて笛を吹く] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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斎藤光正監督。野上龍雄脚本。横溝正史原作。伊佐山巌撮影。山本邦正、今井裕音楽。79年、東映配給。

スカパーチャンネルNecoの録画にて再観。うーん、これは原作がかなりの長尺でTVシリーズでは5回で放送されただけに2時間強の映画では物語そのものを伝えることも難しい。
 75年に角川書店が仕掛けた横溝正史の大ブームは東宝の市川崑作品、TBSテレビの横溝正史シリーズ、松竹の野村芳太郎作品と79年になっても続いており、森村誠一で角川と組んだ東映が映画化に乗り出したのが本作。
 松竹の渥美清の金田一耕助もミス・キャストだが、本作の西田敏行もイメージと全然違う。笑。それはわかってはいたが、原作は面白いので自分は本作は劇場公開時に観ている。
2時間に納めるために設定そのものを細部で変更しているために、完全度は落ちている。
 
 昭和22年、銀座の宝石店で店員数名が毒殺され宝石類が盗まれるという凶悪事件が発生。容疑者として取調べを受けた椿英輔子爵(仲谷昇)はアリバイが立証され釈放されるが、数日後、娘・美禰子(斉藤とも子)に謎の遺書を残して失踪する。そして2ヵ月後、信州霧ケ峰で英輔と思われる自殺体が発見された。ところがその後、彼の妻(鰐淵晴子)が劇場で英輔らしい姿を目撃する。麻布の椿邸では英輔の生存を占う「砂占い」の儀式が行われ、金田一耕助(西田敏行)も友人・等々力警部(夏八木勲)の依頼で出席した。占いの不吉な行方に一族と使用人たちが静まる中、どこからともなく聞こえてくるフルートの笛の音。その深夜、英輔の伯父・玉虫伯爵(小沢栄太郎)が殺されているのが発見された。金田一は書生の三島(宮内淳)から意外な事実を聞き出す。椿子爵は事件のアリバイとなった須磨明石への旅行に三島を同行し、玉虫伯爵の別荘を訪れたという。事件の鍵を見出した金田一は明石へと向かうが…。

改めて観てみると、豪華なキャストに驚かされる。石浜朗、池波志乃、二木てるみ、梅宮辰夫、浜木綿子、中村玉緒、中村雅俊、金子信雄などワンシーンの登場で東映のオールスター達が登場してくる。斉藤光正監督は映画の冒頭で犯人のヒントは提示しており、ドロドロした人間の愛憎劇、そしてあまりにアイロニカルな悲劇を劇場用に巧みにまとめてはいる。TVシリーズが沖雅也、壇ふみで古谷一行で描かれたTVシリーズが良かっただけに、そこはキャスティングの問題だったと感じた。