[機動戦士ガンダム劇場版] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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富野喜幸総監督・原作。矢立肇原作。安彦良和キャラクター・デザイン。大河原邦男メカニック・デザイン。渡辺岳夫、松山祐士音楽。星山博之、荒木芳久、山本優、松崎健一脚本。やしきたかじん主題歌。81年、松竹配給。

スカパーアニマックスの録画で再観。79年TVシリーズの[機動戦士ガンダム]がスタートしたが全51話予定だったのだが、人気が上がらず全43話で打ち切られた。ところが再放送で人気に火がつき、遂には社会現象にまでなっていく。富野喜幸の原作はロバート・A・ハインラインの[宇宙の戦士]にリスペクトされたもので、ロボットではなく、モビル・スーツ。つまり宇宙服の進化したものであるべきだったのだが、スポンサーがバンダイだけに結局はロボットになってしまったのだが。

[宇宙世紀0079]から[人類は自らの行為に恐怖した]までの今は亡き永井一郎さんの名ナレーション。サイド7に近づこうと画面を横切るジオン公国のモビル・スーツザクのモニターである目が横切るオープニングを観たとき、あまりの衝撃に圧倒されたことを思い出す。そして、そのブームは遂に81年に劇場版三部作の製作に至り、さらに加速していった。友人はこの劇場版第一作公開前に劇場に三日徹夜する。さすがに付き合いきれず、前日の夜から合流したことを思い出す。
新しい作画、ほとんどなし。新しい変化は、主人公アムロの母親カマリア・レイの声に倍賞千恵子に依頼したこと位だろう。本作は第1話から第14話の前半までがまとめられといた。

宇宙世紀0079——スペースコロニー“サイド3”はジオン公国を名乗り、新開発の人型機動兵器モビルスーツ“ザク”を実戦に投入して、地球連邦に独立戦争を挑んできた。その結果、戦争は人類の半数以上を死に至らしめ、両陣営は膠着状態に陥っていた。地球連邦軍は起死回生のため、新型モビルスーツ“ガンダム”の開発に成功。だが、辺境のコロニー“サイド7”へガンダム受領に向かった宇宙戦艦ホワイトベースは、ジオン軍の精鋭シャア・アズナブル少佐(池田秀一)の巡洋艦ムサイに追跡されていた。偵察に向かったシャアの部下の一人ジーンは、軍功を焦ってザクによるガンダムへの攻撃を開始し、戦火に巻き込まれたサイド7の少年アムロ・レイ(古谷徹)は、隣人たちの危機を見てガンダムの操縦席へ乗りこみ、起動する! かろうじて2機のザクを破壊することに成功した。大破したサイド7は人の住めない状態になりつつあり、正規軍人たちの大半も死傷してしまった。士官候補生のブライト・ノア(鈴木置洋)洋たち少年兵たちと避難民の少年少女たちは、生きのびるために協力してホワイトベースで脱出し、連邦本部ジャブローを目ざそうと発進する。しかし、「赤い彗星」と異名をとるシャアは連邦側モビルスーツの機密奪取のため、自らザクを駆って執拗なる追撃を重ねていた。大気圏突入のタイミングで攻撃を受けたホワイトベースは、目ざす南米ではなく北米大陸へと追いこまれる。そこはジオン公国を指導するザビ家の末弟ガルマ・ザビ。(森功至)の制空権だった。ジオン地上軍の戦闘機ドップ、戦車マゼラ・アタックの波状攻撃に対し、カイ・シデン(古川登志夫)のガンキャノン、ハヤト・コバヤシ(鈴木清信)のガンタンクが応戦する。ブライトは出撃拒否するアムロに活を入れようと平手打ちをしたが、疲弊したアムロは逆上して口論になる。だが、フラウ・ボゥ(鵜飼るみ子)の言葉に自分の役割を自覚したアムロは奮起し、陸戦兵器のガンダムに空中戦を敢行させ、敵を敗退せしめた。連邦軍輸送部隊のマチルダ中尉(戸田恵子)に補給を受けたホワイトベースの人びとは、完全に孤立したわけではないと知って一時の安堵を覚える。ガルマ・ザビは、占領したニューヤーク市の前市長の娘イセリナ(上田みゆき)と恋に落ちていた。軍功をあげてイセリナとの恋愛を一族に認めさせようと焦ったガルマは、自らガウ攻撃空母で指揮をとってホワイトベースに戦いを挑む。だが、シャアはガンダムが囮であると気づきながらも、味方のはずのガルマをホワイトベースの射線上へと誘導し、あざ笑いながら謀殺してしまった。その悲報はガルマの父デギン公王(藤本譲)に衝撃を与え、一族が前線からジオン公国の首都ズム・シティに駆けつける。つかの間の休息を得たアムロは、コア・ファイターで故郷に立ち寄り、別れて暮らしていた母親カマリア(倍賞千恵子)と再会した。だが、生命を賭けた自分の戦いを母に否定され、激しい断絶を感じたアムロは、仲間の待つホワイトベースへと戻っていく。彼の神経は摩耗しきっていた。だがそのころ、ガルマ仇討ちの命を受けた歴戦の猛将ランバ・ラル(広瀬正志)は、戦艦ザンジバルでホワイトベースの追撃を開始していた。新型モビルスーツ“グフ”に乗り、出撃するランバ・ラル。ブライトの命令で強制的に戦場へ射出されたアムロは、グフとの戦いで活を入れられるが、ザクとの大きな性能差に苦戦を強いられる。ホワイトベースの援護射撃に一時後退したランバ・ラルだったが、帰還したアムロはテレビ中継でガルマの国葬とギレン・ザビ(田中崇)の演説を目撃する。戦争遂行の総意を見せつけるギレンとジオン国民。自分の戦うべき相手が、国家という巨大な存在であることを思い知るアムロであった……。

本作は沢山の名言を生み出した。
シャアの[認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを][甘いな][させるか][坊やだからさ]等、アムロ[ブったね、二度もブッた。親にもブタれたことはないのに]ギレン[ジーク・ジオン]など、セイラ[軟弱者、それでも男ですか]。

特に本作で見せ場になっているのはアムロの母親との再会と別れだろう。戦士として目覚め成長していく、息子に対して、カマリアはそれを受け入れられない。
谷村新司作詞作曲、やしきたかじんの[砂の十字架]はそんな戦場を象徴していた。作品としてはエピソードを繋いだだけで、出来はけして良くないが、導入部としてはよくまとめていた。残念なのは、イセリナの復讐話が本編にはあるのだが、割愛されたことが残念。