[バーニング劇場版] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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イ・チャンドン監督・脚本。村上春樹原作。オ・ジョンミ脚本。ホン・ギョンピョ撮影。モグ音楽。18年、韓国映画。

スカパー、ムービー・プラスにて鑑賞。[村上春樹]の短編[納屋を焼く]を現代の韓国に舞台を置き換えて描く。イ・チャンドン監督8年ぶりの新作だ。前回、制作に加わったNHKによるショート・バージョンを日記にしたが、あれは結末がなく。さらに40分の結末を付けたのが本作だ。

主人公イ・ジョンス(ユ・アイン)は父親が暴力行為で裁判を受けており、別れた母親は借金取りに追われている。ジョンスはバイトで生計を立てているが、町で偶然に幼馴染シン・ヘミ(チョン・ジョンソ)と再会する。彼女は整形して可愛くなったとジョンスを自分の部屋に誘うと恋に落ち、自分はアフリカに旅行するので、留守中猫に餌をやってくれと頼まれる。帰国したヘミはアフリカで知り合った金持ちのベン(スティーブン,ユアン)と帰国、行動を共にする。アフリカで覚えた独特の踊りを披露するヘミ、ベンと共にヘミは故郷のジョンスを訪ね、幼い頃に井戸に落ちたことがあると忘れた記憶を思い出させる。またベンは犯罪行為だが、二ヶ月に一度ビニール・ハウスを燃やしていると語る。美しい日没の光景を前に上半身は裸で踊るヘミは忽然と姿を消す。ジョンスは彼女の行方を探り…。

チャンドンはかなり奇抜な設定と謎を振り撒きながら、ミステリー仕立てで物語を進める。しかし、肝心な謎については明確になっていくわけではない。ジョンスにしても、風俗の女を楽しんでおり、決め手は新しい彼女に化粧を施しているベン、これがポイントなのだろうか。超絶だが、まぁこれしかないかなというラストで終わる。人間の内面に抱える闇を抉り出しているが、もう少し描いておかないと観ている側には伝わらない。