[ダンボ]鑑賞記 | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ティム・バートン監督。アーレン・クルーガー脚本。ベン・デイヴィス撮影。ダニー・エルフマン音楽。リチャード・スタマーズビジュアル・エフェクト。19年、アメリカ映画。


公開中のディズニー・スタジオによる最新作。子供の頃、大き目の絵本で読んだ作品が、次々に実写映画化される中、今度は『ダンボ』しかも監督は、ティム・バートンなので鑑賞してみた。とにかく、ここまでリアルに生き物を特撮で再現してしまうハリウッドの技術力に改めて技術の進化を思わずにはいらない。しかも、バートンはこの手のおもちゃ箱のようなファンタジーを撮らせたら実に上手く、役者もコリン・ファレルや悪役にマイケル・キートンなど豪華な配役を揃えて、夢の世界に親子の絆をしっかりと描き込んだ作品になっていた。


1917年、マックス・メディチ・ブラザース(ダニー・デヴィート)のサーカスに“大きすぎる耳”を持った子象が誕生する。子象は“ダンボ”と呼ばれ、ショーに出演しても観客の笑いものになる。ある日、ダンボの世話を任されたホルト(コリン・ファレル)のミリーとジョーの子どもたちが悲しむダンボを元気づけようと遊んでいると、ダンボがその“大きな耳”で飛べることを発見する。“空を飛ぶ子象”の噂は瞬く間に広がり、ダンボで金儲けを企む大興行師ヴァンデバー(マイケル・キートン)に目をつけられ、ダンボは愛する母象ジャンボと引き離される。母を想うダンボに心を動かされたホルト一家と空中曲芸師コレット(エヴァ・グリーン)やサーカス団の仲間は協力し、ダンボの捕らわれた母を救出しようと動き出すが…。


バートンはダンボの目に、人間たちの様々な姿を写してみせる。欲望に駆られた姿や、自分の大きな耳を笑う姿。憐憫の情を観る側に感じさせる術に長けている。戦場帰りの父親に流行り病で母親をなくして、すぐに馴染めない子供たちをダンボとの触れ合いを通じて、家族の絆を深めさせるストーリー・テリングが絶妙。そして、サーカスの世界や近未来のようなヴァンデバーの遊園地など、最高の特撮技術を屈指して、楽しませてくれる。特に羽根を追いかけて、ダンボが飛翔するシーンはまさに夢の世界が再現されているようで、見応えたっぷり奇跡の映画化。また、投資家グリフィン・レミントン役で、懐かしアラン・アーキン『暗くなるまで待って』の悪役が起用されていたことが、嬉しかった。


ティム・バートン。[スリーピー・ホロー]など。