[アガサ愛の失踪事件] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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マイケル・アプテッド監督。キャサリン・ダイアン、アーサーホプクラフト脚本。ヴィットリオ・ストラーロ撮影。ジョニー・マンデル音楽。79年、英米合作。


スカパーシネフィルWOW W OWの録画にて鑑賞。ミステリーの女王アガサ・クリスティが、若き日に起こした失踪事件を独自の解釈で描く、ラブロマンスを絡めたミステリー映画。ビデオしかなかった作品で貴重な放送。


アガサを演じたヴァネッサ・レッドグレイブはクリスティのイメージとしては長身過ぎることと、彼女を追うルポライターのスタントン役が背の低いダスティン・ホフマンなので、それが余計に強調される感じは否めない。ただヴァネッサは[ジュリア]でアカデミー助演女優賞をダスティンは[クレイマークレイマー]でアカデミー主演男優賞を受賞した直後の作品だけに、一番脂の乗り切った重厚な演技を見せてくれる。



[1926年12月[アクロイド殺し]で書き下ろししたばかりのアガサは(ヴァネッサ・レッドグレープ)は[わが愛、わが友。アガサよりと彫りこまれた]コップを夫のアーチボルト(ティモシー・ダルトン)に贈ろうと用意したが、夫はそれには目もくれず、約束の時間に妻が遅れたことだけをなじった。その日は、彼女が書き下した[アクロイド殺し]の出版宣伝のための昼食会が開かれる日なのだ。急いで家を出るとき、アーチーは、美しい女秘書ナンシー(セリア・グレゴリー)に仕事の指示を与えていたが、2人が不倫のを仲であることをアガサは知っていた。昼食会は盛況で、客の中には、ロンドンの新聞にコラムをもつアメリカ人ウィーリー(ダスティン・ホフマン)や、町の新聞記者ジョン(ポール・ブルーク)もいたが、内気なアガサは、集まった人々への気持ちも、口ごもりがちだった。翌朝、彼女は、夫から秘書のナンシーと結婚したいから離婚て欲しい言われる。結婚生活12年目を向かえるアガサにとってそれは、あまりにも残酷なことだった。インタビューのためにクリスティ邸を訪れたウォーリーは、すげなくアーチーに追い返され、一方アガサは、ナンシーのハロゲイトの療養地でのプランを知り、1人車に乗った。谷間の村の中に乗りすてられたその車が発見されたのは、翌日のこと。さっそく、サリー警察のケンワード刑事(ティモシー・ウェスト)がクリスティ邸に尋問にくるが…。


アガサが夫の不倫相手に仕掛ける復讐劇、それに気づいて静止しようとするスタントンとの間に、仄かな恋心が生まれていく。1920年代のイギリスを再現する美術も豪華だし、キャメラがベルトルッチ作品や[地獄の黙示録]を担当したヴィットリオ・ストラーロというのも贅沢な人選。監督のアプテッドの演出も、テンポがらあり、ミステリー映画として楽しませてくれる。この11日間の失踪経験が、アガサ・クリスティのいくつかの作品のモチーフに使われたと言われるだけに、この解釈はかなり面白いものだった。


DVDはありません。



マイケル・アプテッド。[歌え!ロレッタ愛のために]