[機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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富野喜幸総監督・原作。矢立肇原作。星山博之、荒木芳久、山本優、松崎健一脚本。安彦良和キャラクター・デザイン。大河原邦男メカニカル・デザイン。渡辺岳夫、松山祐士音楽。井上大輔主題歌。82年、日本サンライズ制作、松竹配給。


スカパー、アニマックスの録画にて再観。79年に制作された[機動戦士ガンダム]TVシリーズは、本放送では人気を得られず。再放送で好評を博し、遂に映画版の制作に至るが、当初松竹はTVシリーズのダイジェスト版で1本の映画として編集して欲しいと総監督富野喜幸に依頼するが、壮大な物語を二時間にまとめることは無理と富野は三本に分けての制作公開を主張。特に31話後半から最終43話をまとめた本作は新作のカットも非常に多く。シリーズ最大のヒット作品となった。



地球連邦軍基地ジャブローへのジオン軍の執拗な攻撃を退けたホワイトベースは、宇宙へ向けて発進した。今回の主任務は、ルナツーへ向かうティアンム艦隊よりジオン軍の目を撹乱、囮となることだった。シャアもまた、ホワイトベースの後を追って地球を発進した。途中、ジオン軍のキャメル艦隊との戦闘で傷ついたホワイトベースは、サイド6へ向かった。アムロ・レイ(古谷徹)はサイド6の市街へ出た時、酸素欠乏症で脳を侵されている父テム・レイを発見する。父の症状に絶望したアムロは、偶然、ララァ・スン(潘恵子)と呼ばれる不思議な少女と一人の男に会った、アムロはこの男こそシャア・アズナブル(池田秀一)に違いないと直感した。またミライ(白石冬美)は親が決めた婚約者カムランと再会するが、自分自身で彼女を探さなかったカムランを非難、出発するホワイト・ベースを身を呈して先導すると申し出したカムランを拒否するが、それをスレッガー・ロウ(井上真樹夫)はたしなめ、ミライの中に恋心が芽生える。サイド6を後にしたホワイトベースは、連邦軍の第三艦隊と合流、ジオンの宇宙要塞ソロモン攻略戦に参加。凄絶な闘いの末、トズル・ザビ(玄田哲章)の死と共にソロモンは陥落した。しかし、この戦いでスレッガーが死に、彼を愛していたミライは、悲しみにくれた。ホワイトベースはテキサスコロニーに入港した。シャアもまた新型モビルスーツ=ゲルググを受け取るため、テキサスに潜入していた。そのシャアと今は敵同士の妹セイラ・マス(井上瑶)が再会した。シャアは彼女に艦を降りて地球へ脱出しろと告げると、砂嵐の中へ消えていった。今やソロモンは連邦軍の拠点として活動を開始していたが、モビルアーマー=エルメスを操るニュータイプ少女ララァの攻撃は、連邦軍を苦しめていた。ついにアムロとララァが対決し、アムロが勝った。だが、ララァが死ぬ寸前、二人のニュータイプの思惟が重なりあった。二人は“人類の未来”を見たのだった。ついに連邦軍主力艦隊に向けて、最終兵器ソーラ・レイが発射された。それは艦隊の大部分を一瞬にして消し去った。ホワイトベースを含む連邦軍残存艦隊は、ジオン軍の宇宙要塞ア・バオア・クーに最後の総攻撃をかけた。ガンダムとシャアの乗る試作途中のモビルアーマー=ジオングは激しく戦い続き…。


まず最初の戦闘場面から、宇宙での戦闘が不自然だったガン・タンクは二機のガン・キャノンに買い替えられ、ガンダムを収納できたGアーマーは戦闘機コア・ブースターに変更がなされた。戦闘自体はそれにより、よりリアルに感じられ、新しく制作された場面の挿入にファンは斬新さを感じた。


また、TVシリーズでは、後半、人類の進化や覚醒とも言えるニュー・タイプが強調され始めるが、映画版では不自然にならないように最初から、それを作品に挿入し、TVシリーズの不自然だった部分をかなり手直ししていたのは好感が持てた。


本来ガンダムは50話前後の予定で制作されたが、人気が上がらず43話で打ち切りになった。富野喜幸の原作によれば、テレビ・シリーズに1話だけ登場するニュー・タイプのシャリア・ブルが最強のニュー・タイプとして登場し、アムロはそれと対決して死ぬ設定だったのだが、話数が足りずにニュー・タイプとしての登場人物たちの覚醒を描く、現状の平和なエンディングになったことはシリーズにとっては逆に良かったのではないか。

前作[哀戦士編]から主題歌を担当した井上大輔の歌は大ヒットを飛ばして、アニメ・ソングがジャンルを越えて売れるきっかけになった。


ロボット・アニメが単純に子供向けとしての戦闘モノから、本格的なSFドラマとして描かれ、後のサンライズ・シリーズや[新世紀エヴァンゲリヲン]を生み出す土壌になったことを考えれば、このファースト・ガンダムが果たした役割は非常に大きく。いまだに様々は分野で絶大なる人気を保っているロボットSFアニメの金字塔と言っていい。


この映画のラスト、何度観ても、なんとも言えない感動を呼び起こす名シーンの連続であり、ご覧になる方は、ぜひ劇場版三部作を全部ご覧頂きたい。


DVDはあります。ネットで見れます。


富野喜幸。[伝説巨神イデオン]など。