[柔らかい肌] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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フランソワ・トリュフォー監督・脚本。ジャン=ルイ・リシャール脚本。ラウール・クタール撮影。ジョルジュ・ドルリュー音楽。64年、フランス映画。


スカパー・シネフィルイマジカの録画にて再観。四十代男性の不倫愛を中心に、後半はヒッチコックタッチのサスペンス映画の要素が加えられた作品。[恋愛日記]と同様にトリュフォーのフェチぶりが濃厚に挿入された恋愛シーンと後半のタッチの変化のためか、カンヌ国際映画際に出品された時は不評だったようたが、自分としてはこの映画かなり好きで、不倫をしている男の焦燥ぶりがすごくリアルに感じられる。


ピエール・ラシュネー(ジャン・ドザイ)は四十四歳、文芸雑誌の編集長で著名な評論家。彼はリスボンへの旅行の途中、美しいスチュワーデス、ニコル(フランソワーズ・ドルレアク)と知りあう。リスボンに着いてから、彼はニコールを食事にさそい異郷の町で一晩中語りあった。この日から、平和でなに不自由ない落ちついた彼の生活が狂い始める。二人はパリに帰っても会うようになったが、落ちつける場所はなかった。その頃ピエールに、ランスでの講演の依頼があり、密かにニコールをつれて出発した。講演が終ってからランスの人は彼を放してくれない。深夜、やっとのことで町を脱出した二人は、誰も邪魔する者のいないホテルに着き愛を確かめあった。しかしピエールにとって、単なる浮気ではなかったにしても、やはり家のことが気になり始めた。予定よりまる一日帰宅が遅れているのだ。その頃、講演先に電話をかけた妻のフランカ(ネリー・ベネデッティ)は帰宅した夫を疑い、激しくその行動をなじり…。


ピエールが飛行機の中で、ニコルに目をつけるのは彼女の足を見たことがきっかけで、疲れて寝込んだニコルの足を撫でるシーンは、トリュフォーの足フェチぶりがよく出ている。ふたりが止まるホテルの名前は[ラ・コリ二エール]とはジャン・ルノワール監督のゲームの規則の館の名前だったり、ランスの映画館にジャン・コクトー監督の[オルフェの遺言]のポスターが貼ってあったり、スリリングな展開で、不倫を実行しようとするピエールの見せ方はヒッチコックばりなのだが、批判している自国の映画にも、オマージュを捧げており、トリュフォーの自国作品に対する思い入れもよく出ている。


後半は一気に危険な展開を見せ…。


DVDはあります。


フランソワ・トリュフォー。[大人は判ってくれない]など。