[クレージーだよ天下無敵] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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坪島孝監督。田波靖男脚本。小泉福造撮影。萩原哲晶音楽。主題歌植木等。67年、東宝・渡辺プロ。

スカパー日本映画専門チャンネルにて鑑賞。クレージーキャッツ[作戦シリーズ]の第8作。[奇想天外]で人気爆発した谷啓を植木等のライバルとして、二枚看板で売り出した作品。いやー楽しい。クレージー映画には高度経済成長期の日本の元気がある。先祖からライバルだった二人が、ライバル家電会社の産業スパイとして競い合う。ドタバタ喜劇。それぞれの恋人とクライマックスは田崎潤率いるギャング団も絡み、抱腹絶倒の展開を見せる。

いつの世にも犬猿の仲と呼ばれる宿敵同士がいる。トヨトミ電気の猿飛三郎(植木等)と徳川ムセンの犬丸丸夫(谷啓)もライバルで産業スパイとしてシノギをけずっていた。犬丸の恋人松野みどり(高橋紀子)のアパート、関ケ原荘に猿飛と犬丸が隣り合せに住んだ時から、両社のスパイ合戦が激しく展開していく。トヨトミが電化モデルハウスを建てた。さっそく犬丸は出前持ちに変装し、放射性物質を塗ったラーメンを届け、ガイガー計を使い食べた者の行方がつきとめられる訳だ。ガイガー針片手に食べた犬丸が猿飛の跡を追っていくと、いっぱい喰わされた。徳川が万能コタツを製造、猿飛はステテコ姿で徳川方にのりこみ、大あぐらをかいてコタツに難くせをつけたがわほどなく正体を見破られ、秘書室に飛び込み、書類を手にするが、"弔辞”とあるのみだった。猿飛はその際に知り合った徳川の秘書石川和子(野川由美子)に頼まれ。モデルハウスに行った。もちろん犬丸は追跡した。このモデルハウスの中で、犬・猿両君ともロボットを始めとして、超近代的な工夫を凝らした道具類に散々な目にあった上に、翌朝ハウスは跡かたもなく消え、実はこれが移動自在な忍者屋敷であったのだ。犬猿の二人は、首ったけになったバーのママが実は産業スパイで、両社の社運を賭けている立体テレビの設計図をせがまれ…。

驚くべきはトヨトミの未来型モデルハウス。ロボットがいたり、近未来を予言しており、三年後に開催される万博を視野にしていると語られるが、実際に大阪万博でロボット等が開発された。この機械に翻弄される場面はチャップリンの[モダンタイムス]を思わせ、坪島監督のオマージュの使い方は秀逸。また最後の登場する立体テレビは現在の4Kテレビであり、その先見の明にも驚かされた。

猿犬、それぞれの恋人がバーのママに入れ込む二人に嫉妬して、彼女のマンションに乗り込んだところで、すべての計画が明らかになり、そこから壮絶なドタバタ喜劇に発展していくのだが、とにかく笑えるので、是非ご覧頂きたい。

DVDはレンタルにあります。


坪島孝。[クレージー作戦先手必勝]等。
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