[ゴジラvsモスラ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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大河原孝夫監督。大森一樹脚本。川北紘一特技監督。岸本正広撮影。伊福部昭音楽。92年、東宝配給。


スカパー日本映画専門チャンネルの録画にて再観。ゴジラ特集から今回はシリーズ第19作を紹介。興収22億で当時シリーズ最高を記録した大ヒット作品。第4作である[モスラ対ゴジラ]を細部変更しながら、平成シリーズ内の設定も継続させつつ、リメイクしている。その最大のものが、黒いモスラと呼ばれるバトラであり、ゴジラも含めた三大怪獣の大激闘を描いている。昭和シリーズではザ・ピーナッツが演じたインファント島の小美人は第3回東宝シンデレラの今村恵子と大沢さやかがコスモスとして演じ、1万2千年前に地球に来た先住民族という設定で身長も18cmに変更。あのモスラの歌も歌っている。


トレジャーハンターの藤戸拓也(別所哲也)は国家環境計画局の依頼で、開発会社丸友社長友兼(大竹まこと)の森林伐採で起きた土砂崩れ現場に現れた巨大な卵の謎を解明するために、インドネシア諸島にあるインファント島に向かった。丸友の安藤(村田雄浩)と、拓也の別れた妻で計画局の手塚雅子(小林聡美)が彼に同行した。3人は卵のある場所で身長15センチほどの2人の小美人(コスモス)に出会う。コスモスは地球の先住人類で優れた文明社会を築いていたが、1万2千年前に環境破壊を引き起こして地球生命の怒りを買い、滅亡したという。巨大な卵はそのコスモスたちの守護神モスラで、地球生命を守る使命を持つ怪獣バトラとの戦いが近づいていた。バトラは日本海を渡り上陸、名古屋を壊滅させインファント島に向かっていた。拓也たちはモスラの卵を日本に運ぼうとするが、途中隕石の影響で目覚めたゴジラに襲われ、その時卵からモスラが誕生した。ゴジラとモスラの戦いが続くなか、バトラもやってくる。ゴジラはバトラを海中に引きずり込むがゴジラと共に海底の深い割れ目に落ちてしまう。危機を逃れた拓也はコスモスを研究機関に売り飛ばそうとするが、再会した娘のみどりに説得されとどまる。その頃富士山からゴジラが出現し、街を破壊しながら横浜へと向かった。コスモスを取り返そうと東京に上陸し、国会議事堂で幼虫から成虫へと変態したモスラ、また黒いモスラへと変態したバトラも横浜へ向かい、こうしてみなとみらい21で3大怪獣の決戦が始まり、モスラとバトラが協力してゴジラと戦うが…


特撮的に観るとバトラのデザイン、動きどれも作り物めいているし、このゴジラもデザインはいいが生命感、巨大感といった怪獣としての動きにリアルさがない。まるで昭和シリーズから変化のないミニチュアワークも東宝ビルドの巨大プールによる撮影にしてもいかにもそれであることがわかってしまうのは頂けない。例によって防衛庁の全面協力で本物の戦車も登場するが、ミニチュアとの差が歴然なのだ。怪獣同士の戦いは特に夜のみなとみらいでの戦いはリアルで迫力を感じさせる。


平成シリーズのヒロイン三枝美希(小高恵美)。第一作の主役宝田明。[ウルトラマン]の小林昭二、黒部進。篠田三郎、田中好子等豪華ではあるが、本編にはあまり絡まず。大森一樹は、藤戸夫婦の夫婦漫才的な喧嘩で笑わせ、家族再生の物語をモスラの地球救済の物語に絡ませている。大竹演じる丸友社長は昭和シリーズの田島義文のようないかにも悪人的な部分が抑えられ過ぎて、メリハリがない。全体的には三大怪獣のバトルを全面に押し出しており、その魅力で見せる分、その他の人間ドラマ面に関しては弱い。出来としては平凡。昭和シリーズを知ってる方は伊福部昭の音楽だけで懐かしさが溢れるが、ザ・ピーナッツと比較してしまうとコスモスは落ちる。


DVDはレンタルにあります。


大河原孝夫。[ゴジラvsデストロイア][ゴジラvsメカゴジラ]等。