[夏の夜は三たび微笑む] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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イングマール・ベルイマン監督・脚本。グンナール・フィッシェル撮影。エリック・ノルトブレン音楽。55年、スウェーデン映画。


シェウクスビアの[真夏の夜の夢]にインスパイアされて製作された集団コメディ。作品が興行的に当らず手掛けた作品だったが、56年カンヌ国際映画祭で特別ユーモア賞を受賞。ベルイマンの知名度が上がり、後の傑作製作に繋がったというエピソードがある。ちなみに彼を崇拝するウディ・アレンが最も好きな作品でもある。スカパー、ザ・シネマにて鑑賞。


ソフィストケートされた台詞。4組の男女が繰り広げ、巧みに絡み合う脚本が秀逸。

舞台を観るような作劇の面白さに引き込まれる。


20世紀初頭スウェーデン。法律事務所を開業するフリードリック・エーケルマン(グンナール・ビョルンストランド)は、16歳で嫁いだ後妻アン(アンウラ・ヤコブソン)と神学校に合格した息子ヘンリック(ビョルン・ヴェルブヴェンマスタム)と彼は若妻に惹かれていたが女中のペトラ(パリエット・アンデルソン)にも気があった。フリードリックはアンを大切にはしていたが女性として愛を抱けず、アンは処女。そこでかつて情事を持った舞台女優デジレー(エヴァ・タールバック)を訪ね、アンに別れを切り出すように頼む。だがそこに彼女の現在の恋人マルコム伯爵(ヤール・キューレ)と対決することになる。伯爵にはシャーロッテ(マルギット・カールキスト)があったが平然とデジレーの元に通っていたのだ。そこでデジレーは母親のアルムヘルト伯爵夫人宅でパーティを開催。エーケルマン一家とマルコム伯爵夫妻も呼び、一気に問題解決を画策するが…。


デジレーが画策する芝居や駆け引きが実に巧みで、あちこちに広がる恋心が観る側をドキドキさせながら見事に行き先が決まり収束する様が鮮やか。随所に笑いを散りばめ、フレードリックと伯爵の対決にロシアン・ルーレットを使う等、観客を巧みに引っ張るベルイマンの演出は絶妙。神の不在等、過酷な内容が多い彼の作品の中では異色で軽く楽しめる集団喜劇であり、どんなジャンルでもこなせることを証明している

一作。


DVDは廃盤。


イングマール・ベルイマン。[処女の泉][野いちご]

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