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拝啓 智さま

 

智さんには好きな人はいますか?

自分と同姓の人を好きになるのって変ですか?

 

その人には彼女がいます。そして結構幸せそうです。

そいつは 端から対象は女子だから 自分に可能性なんかないのは分かっていました。

もしその人がボクの想いを知ったら、気持ち悪いと思うのか、そう考えるとすごく怖くなります。

 

結局、異性を好きになることが本来の正しい姿なのかと悲しくなります。

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カズナリくん

 

人間はね、胎児のある時期まではみんな女性性なんだよ。

例え染色体がXYでも、男性性に分化しろと脳の命令が無い限り 体は女性として成長する。

もともと1つの性別なんだクローバー

 

僕たちは大きな脳を抱える代償として本能を手放しているように感じるけれど、もとはみんな同じ性別なら 誰に好きな気持ちを抱いても不思議はなくない?ブルーハート

 

頭でっかちな僕たちは "好きになる"因子が多様化してるのも事実だと思う。案外、"恋愛対象は異性"っていうのは 生後の教育による刷り込みなのかもしれないね。キラキラ

 

でも彼はその刷り込みだけで人を好きなったり嫌ったりする人じゃないでしょ?

 

カズナリくんは 自分の友達をもっと信じてもいいと思うよ。

 

僕は君の人を見る目は確かだと知っているからクローバーキラキラ

 

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和也のスマホの着信音が鳴った。

画面に雅紀の名前が浮かんでいる。

 

『もしもし?』

 

『かずちゃん、オレだけど! おばあちゃんが居なくなった!』

 

 

!?

(*.゚꒳゚*)ハッ

 

 

 

‹(´ω` )/››‹‹(  ´)/›‹‹( ´ω`)/‹‹(  ´)/›‹‹(´ω` )/›y

 

 

和也は 商店街から少し離れたところにある候ちゃんの家へ自転車で駆け付けた。

 

商店街には 午後8時にシャッターを下ろす店舗が多い。

既に 通りは 閉じたシャッターが並んでおり、暗く寂しい。 切れかけた街灯がチカチカと瞬いて、まだ肌寒い初夏の夜を余計に寒く不安にさせた。

 

潤と櫻井先輩もやって来た。

『人探しなら 要員は多い方がいいでしょ?』

櫻井先輩を指さし、潤が言った。

 

候ちゃんの親友の雛子もいた。

 

往診中の二宮先生と候ちゃんの母親には連絡がつかず、和也は母に 医院で2人を待ち、詳細を説明するよう頼んだ。

 

『もし おばあちゃんに何かあったら。。。

私…もうまーくんとは会えない。。。』

 

嗚咽する候ちゃんの言葉に 雅紀の表情が消えた。

 

女の子2人は 自宅に連絡が入る可能性を考えて、家で待機することになった。

 

 

雅紀が 捜索班の皆におばあちゃんの画像を共有した。

 

そこには 卯の花をバックに、候ちゃんと雅紀とおばあちゃんの3人が寄り添い 笑っていた。。

 

幸せそうな笑顔の3人に 和也の胸は疼く。

 

『交番には おばあちゃんの写真を持って行って捜索を依頼してある。』

 

お年寄りの足ではそう遠くには行けないだろう。

雅紀と和也は 候ちゃんの家を中心に路地裏や 民家の庭先などを探し、通行人に画像を見せて尋ね歩いた。

 

付近には踏切もあるし、ちょっと歩けば 自動車の結構往来する道路もある。

 

"もしも…" のことを考えると居ても立っても居られない。

和也と雅紀は焦る気持ちを抑え無心でおばあちゃんを探した。

 

遠くで救急車のサイレンの音が鳴っていた。その音がだんだん高く大きくなっていく。

全てが嫌な予感に結びついて 焦りばかりが増した。

 

ピリリリリリスマホピリピリ

 

突如、雅紀のスマホの着信音がけたたましく響いた。

 

潤からの連絡だ。『もしもし!潤ちゃん!?』

 

『…J、なんだって?』

 

『…かずちゃん。おばあちゃん、見つかったって。。。』

 

振り向いた雅紀の目からぽろぽろと涙が零れた。

二人とも、極度の緊張が一気に解け、まるで空気が抜けたようにぷしゅーっと その場に座り込んでしまった。

 

 

 

 

‹(´ω` )/››‹‹(  ´)/›‹‹( ´ω`)/‹‹(  ´)/›‹‹(´ω` )/›y

 

 

家には 仕事が終わり 連絡を受けた候ちゃんのお母さんと二宮先生も駆けつけていた。

先生が おばあちゃんの診察をし、外傷など無いことを確認している。

 

『えっちゃーん!!』

 

雅紀はおばあちゃんへ駆け寄った。

 

『良かった。。。無事で、本当に良かった。』

 

『櫻井先輩が見つけてくれたの。駅前のコンビニの前に座り込んでいたのを店員さんが保護してくれていたんだ。』

 

『通りは暗かったから、きっとおばあちゃんは明るいところに向かうんじゃないかと思ってね。』

 

皆、おばあちゃんが踏切を渡ろうとしなかったことに感謝をした。

 

『まーちゃん。大好き。』

 

おばあちゃんは雅紀の手をきゅっと握った。

 

『まーちゃんはね。卯の花が咲く頃に出兵して、二度と帰らなかったんだって。おばあちゃん…まーちゃんを探しに行ったのかもしれないわね。』

 

候ちゃんのお母さんが教えてくれた。

 

嬉しそうに雅紀の手を握るおばあちゃんを見て、きっと候ちゃんも『もう会えない。』と言ったことを撤回するだろう。

 

『かず。ちょっといい?』

 

潤に呼ばれ、和也は外へ出た。そこには櫻井先輩もいた。

 

『かず。。。まーのこと、ずっと好きでしょ?』

 

!?

(*.゚꒳゚*)ハッ

 

『お前、分かりやすいから 前から知ってたよ。

…で、まーには言わないのか?』

 

『…まーくんは今 大好きな彼女がいるし…オレの気持なんて知ったって あの人、辛い思いするだけだよ。』

 

『そう…。それが理由ならいいんだ。

ただ 何も言わないで腐ってるだけならハッキリさせればいいのに、って思ってたからさ。

まーは、男から告られてドン引くような奴じゃないのは分かるよな?』

 

和也は頷いた。

 

『ん。オレが櫻井先輩のことかずに打ち明けたのも、かずが踏み出す切っ掛けになれば…って思ったからなんだけど。。。

 

オレだって、玉砕覚悟で告ったんだぜ?ねぇ、櫻井先輩💜』

 

『や、その節はどうも///あせる

 

 

 

‹(´ω` )/››‹‹(  ´)/›‹‹( ´ω`)/‹‹(  ´)/›‹‹(´ω` )/›y

 

 

 

潤と櫻井先輩を見送ったあと、父に 雅紀と帰るからと伝え帰路についた。

 

雅紀の家はレストランを経営しており 両親ともに多忙であったため、祖母に預けられることもしばしばであった。おかげで立派なおばあちゃん子に成長した雅紀は、これからおばあちゃん孝行しようと思った矢先に、病気でおばあちゃんを亡くしてしまった。

 

『その頃にさ、公園で候ちゃんとえっちゃんを見かけてね。

えっちゃんがオレのばーちゃんによく似てたからびっくりしたの。で、速攻話しかけた。最初は候ちゃんにすげぇ警戒されたんだぜ。』

 

雅紀は ぽつぽつと候ちゃんとの馴れ初めを語りだした。

 

『あー見えて候ちゃん、いい子なんだぜ。』

―― どう―見えて、だよ??真顔汗

 

『それにしても、さすが櫻井先輩だよな~。超ファインプレーだよな。』

 

―― うん うん。

 

『潤ちゃん、やっぱ男を見る目は確かだよ。最高の彼氏だ!

 

――!!(*.゚꒳゚*)ハッナヌッ!?

 

『や、あの、その…まーくん、し、知ってたの???』

 

『うん♡ 別に潤ちゃん、隠してないんじゃないのかな? 

ってか、見てれば分かるじゃん~(笑)』

 

 

また 智さんの言葉が浮かんだ。

“ もっと、自分の友達を信用してもいいと思うよ。 ”

 

―― 潤くんにはああ言ったけれど、本当は 現実を突きつけられて傷つきたくないってのが本音だ。。。と思う。

なんだかんだ理由をつけて いろんなことを燻ぶらせては蓋をしてきた今までのオレ。

 

Jの男気にも背中を押された。

まーくんの懐の深さを借りて、自分の想いをお焚き上げして成仏させてみよう。そうすんなりと思えた。

 

緊張はない。

ちょっとだけ深呼吸した。

 

 

『まーくん。』

 

雅紀の優しい視線が和也を捕らえる。

 

『オレ、まーくんのこと誰よりも何よりも大好きだったの。』

 

!!(‘◇‘) ハッウ!

 

えっ!? あっ、そ、そうなの? あぁそうなんだ…』

 

人のことには敏感で鋭いのに、自分のことは全くわかっていないのは、さすが、というか やっぱりというか。。。汗

 

『候ちゃんだから好きになったってのはよく分かってるし、まーくんは これからも親友として変わらず付き合っていってくれるってことも オレはちゃんと知ってる。でしょ?』

 

―― オレの想いを せめてキレイに逝かせてあげたいんだ。

 

『うん。かずちゃん、ありがとう。』

 

―― 困らせるつもりは全然無かったんだよ?

 

『もう~、分かってるって!』

 

雅紀は和也を羽交い絞めにして、ガシガシと頭を撫でた。

 

 

 

 

‹(´ω` )/››‹‹(  ´)/›‹‹( ´ω`)/‹‹(  ´)/›‹‹(´ω` )/›y

 

 

 

和也は家に帰ると自分の部屋へ駆け上がり、ベッドに寝転がると同時にスマホを取り出した。今日の出来事を…潤に背中を押されて 雅紀に告白したことを すぐにでも 智に知らせたかったのだ。

 

思ったより堪えていない自分に 驚いている。

まーくんに振られたら、きっと号泣して周りに毒づくんじゃないかと思っていたからだ。

多分、自分の中で徐々に整理をつけることができていたんだろう。

 

それは 言うまでもなく智さんのお陰だ。

そして、まーくんよりも自分の心を占める存在があったからだ…。

 

和也は、智さんへ充てて書いていた長文メールを消去した。

 

 

 

そして、短いけれど、想いを込めて

 

 

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拝啓 智さま

 

会って話したいことがたくさんあります。

 

僕と会ってくれませんか?

 

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――正直 まーくんに告るより、緊張する…

 

震える指で 送信ボタンを押した。

 

 

ブブッスマホ笑い

 

すぐに返信が来た。

 

 

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いいよブルーハート

 

でも 今カズナリくんは試験週間中でしょ?

試験が終わったら、初めて君がメールをくれた公園で会おうクローバー

 

それまで試験に集中してねグッ

 

 

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つづく。

 

次回 最終回ヾ(*´∀`*)ノ