手を繋ぎ合わせ鏡の道を走る。

 

 

『智…この道、知ってるの?』

 

 

『うん。

和也のことを考えてると、時々現れてた。

 

オレは自分の頭の中のことを言葉で表現するのが苦手でさ。だから和也みたいに話せたらいいなぁ。とか、

和也みたいに、一見欠点なのに ソレを魅力に昇華できる力ってすごいなぁ。とか。

かずみたいになってみたいって思ってた。

 

天邪鬼なかずが可愛くて、だからオレも真似して かずからのメシの誘いをはぐらかしてたよ。(笑)』

 

 

和也はこくんと頷いた。

 

 

出口が近づいてきた。

和也の手を握る智の手に力がこもる。

 

『この道を抜けるとね、』

 

―― この道を抜けると、そう。

 

急に拓けた視界の眩しさに2人は目を細めた。

 

 

『和也が笑っているんだ。』

 

 

 

―― 智が歌っているんだ。

 

 

 

智と和也はお互いを見つめた。

 

 

 

 

『オレね。智に画を貰ったとき分かっちゃったんだ。オレは智に憧れて憧れて憧れて…でも智になりたいんじゃなくて、智の隣に居たいんだって。』

 

『うん、オレも。

和也みたいになりたいんだって思っていたけれど それは、 同じものになりたいんじゃなくて 一緒に居て繋がっていたいんだって分かった。』 

 

2人だから、触れ合える。触れるからこそ一つになれる。

だったら、個々であることも 一つであることも、自分たちにとっては同じことなのかもしれない。

 

『ねぇ、頭の中があったかいの。』

 

『オレも。』

 

 

ここに来るとき、いつもそーなるんだよ。

 

 

オレも…

 

そっか

 

 

脳の下前頭皮質と下頭頂皮質が活性化したとき、

相手の行動に反応し、自分も同じ行動をしたり、同じような感情に感化されてしまうことがある。

 

ミラー効果と言われる現象だ。

 

脳のその部分に存在するミラーニューロン。

 

鏡の神経細胞。

 

 

 

大好きな智を見つめ続け、和也のミラーニューロンはその仕草や癖 口調、発想を映しミラーリングとして和也の体で体現する。

 

同じく智のミラーニューロンは 自分を慕う和也を愛しく思い、やがてその振舞いや意思を映した。

 

和也が智を映し、智が和也を映し…それを繰り返して

 

 

やがて 合わせ鏡の道が拓く。。。

 

今、二人が呼応して同じ答えを出したことで、またこの道が開いたのかも知れない。

 

 

 

 

 

『ところで …なんか、かずの心臓バクバクいってね?』

そう言う智の息は荒く 体は熱い…気がする。

 

『 あ!あの薬? 幻覚だけじゃなくて、ちゃんと催淫作用もあんの!?もう、Jが怖い!

 

もはや無理をして 何もないふりをする意味もなくなった。

和也のまなじりが上気して赤みを帯びた。

 

智が迎え舌で 和也に唇を寄せる。

和也が顔を背け、いつもの諫めるような眼差しで言う。

 

『…で オジサン。どっちが女役やんのよ?』

 

智は和也を不思議そうに見つめる。

 

 

『なんで女役?

 オレ達、両方男じゃん?』

 

 

 

和也は智の襟元をぎゅっと引き寄せ 思い切りKissをした。

 

『だから オジサンが大好きよ。』

 

 

 

 

つづく。

 

 

次、たぶんアメ限です。<m(__)m>