友達以上恋人未満の、昭和のドラマっぽい約束ってあるじゃない?

『自分の人生 やりたいことやり切ったら…最期は 和と居たい。』

そう!まさにソレ。

 

LGBTQとか SDGsとか、まだまだ全然騒がれていない時代だったから正直驚いた。この人は なんて言うか…余計なことを 本っ当になんも考えないんだな。って思った。

 

 

その上、そんなウソかホントか分かんない昔の約束を、 いつまでもいつまでも 後生大事に覚えているんだから 俺も相当キテるってことよ。

 

 

それだから てっきりこの人をそーゆー先入観の無い人だって思い込んでた。でもその思い込みってのがそもそも先入観でバイアスだ。

 

 

 

 

『こっち見ろよ!!ホント気持ち悪いな!むかっ

 

 

『気持ち悪いんだよな。。。』

 

 

あ…

そうかぁ。この人は 男が男を好きっていうのを、それがどんなモノであれ結局は気持ち悪いで片付けるのか…

 

な~んて。

 

勝手に思い込んでたオレは 勝手に失望したんだ。

 

 

ことの発端は。。。

 

 

 

 

 

『俺、二宮くんが好きなんよ。』

 

焼き鳥屋で一緒に呑んでた相手から、突然そう言われて面食らった。

 

 

相談したいことがあると呼び出されたから、てっきり今撮影中のドラマでの演技とか人間関係とかの相談と思ってた。

 

いや、人間関係と言えばそれはそうなのか???

 

 

そういやコイツ、今までに熱愛報道とか一切されてないし、業界内でも噂すら聞いたことがない。

 

えっ?本気なのか?

その時オレはヤツの告白に、一体何と言って答えたのか思い出せない。それほど狼狽えていた。

 

 大ちゃんが好き

だろ?オレもマルが好きだ。

 

 

相葉ちゃんが好き

分かる。あんな良い人滅多にいないもん。

 

 

潤くんが好き

分かる。いい男だからな。

 

 

翔くんが好き

分かる。大人でヤンチャでかわいいし。

 

 

二宮くんが好き♡

 

だからなんで ”♡” なんだよ!?💢

 

 

…やっぱり かずに対する好きだけはどーにも解せない。

       

 

 そんなモヤモヤが未だ解消されず燻ったままってのに、コイツときたら みんなの居る前で言いやがった。

 

 『俺、二宮くんが好きなんよ。』

 

自分の中で色々消化できていなかったから 何と言っていいか分からなくて、それなのに和ときたら…

 

 

だからつい、『気持ち悪いな!』 と言ってしまった。。。。

 

 

‹(´ω` )/››‹‹(  ´)/›‹‹( ´ω`)/‹‹(  ´)/›‹‹(´ω` )/›y

 

 

収録が終了すると同時に着替えを済ませた和也は さっさと楽屋を出て行った。

 

 

 

『珍しいね。いつもニノと競うようにして帰っていくのに。』

 

やっと着替えを終えた翔が、淹れたてのミルクティを片手に 和也が出て行ったドアの方を見やった。

 

智はソファで膝を抱えていた。収録後、和也の機嫌が悪いことは察知していた。その理由も分かるようで分からないけれど分かっている。

ただ謝っても和也の機嫌は多分直らないのも、残念ながら分かってしまっているのだ。

 

ため息をつき黙り込んでしまった智に、潤が緑色の錠剤が入った小瓶を差し出した。

 

『何これ?』

『いわゆる“媚薬”ってヤツ? 仲直りのキッカケがいるんでしょうよ。』

 

そう言って潤は、目をしばたたかせてる智のズボンのポケットに小瓶をねじ込み ウィンクした。

 

 

 

‹(´ω` )/››‹‹(  ´)/›‹‹( ´ω`)/‹‹(  ´)/›‹‹(´ω` )/›y

 

 

『和ちゃぁ~ん』

 

雅紀が、足早に楽屋を後にする和也を呼び止めた。

 

 

『なんかあったの?和ちゃんが大ちゃん置いて帰るなんてさ。 』

 

智にとっては 言いがかりみたいな理由で自分が不機嫌になってるのは分かっている。

“お前の勝手な理想を押し付けるなよ。”

多分そう言われるだろう。でも、それこそが自分が智を愛する由縁だからどうしても譲れない。

 

誰かに言って伝わるかどうか…

 

 

それでも一人で悶々とするよりは 数段ましな気もした。

 

 

 

 

つづく。