昔、学童保育みたいな組織で

担当していた男の子・・・


いつも落ち着きが無く

キョドっていて

日頃はややひ弱系なのだが

自分が勝てそうなというか

ギリギリの場面では

人格が変わる。


かけっこで追い越しかけた子を

引き倒したり

 

テストで1位になった子の

答案を破いたり

 

給食であまったプリンを

ジャンケンして決戦で負けたら

窓からプリンを投げたり・・・


どんどん友達が

いなくなっていく・・・

そりゃそうだろう。


どんなゲームをしていても

負けそうになったら

カードを投げ

盤をひっくり返し

コンセントを抜き

なかったことにし

できなくていいことにする。


『負けず嫌い』と言うには

あまりにも野蛮で短絡的・・・

 

ある日、またいつものように

トランプを破り捨てたので

往復ビンタを食らわした。

(はいはい、今なら…は

もう結構です。

今はそこまで真剣に対応しません)


彼は一瞬意味が

わからなかったらしく

キョトンとした後

猛然と私の腕に噛みつき始めた。
(嚙まれても暴力じゃない不思議)


ビンタをさらにお見舞いして

押さえつけ

『みんなに謝れ!』と

指示した。


最初は暴れていたが

だんだんおとなしくなり

話ができるようになった。


1時間以上かけて

『勝ちたい気持ちは間違ってない』こと

『負けたのは努力や運が

少し足りなかっただけ』なこと

『勝った子を賞賛して

一緒に喜んでる者をカッコイイと

おもわんか?』と話したら

涙目でうなずいていた。


じっくり聞けば母親が

何でもかんでもとにかく

負けたらご飯を抜いて

飼い犬にやるという。


「負けたら、またご飯がない」

さめざめ泣いた。


『だまってりゃいいのに・・・』

というと

「ウソをついたら

全身が動かなくなって

最後心臓が止まるんだ・・・

だからダメだ」

と・・・


おまえは

どこかの先住部族か(^_^;)

 

とにかく小4の言うことじゃない。


毒なのは

子どもの成長を阻害している母親だ。

 

母親を全面否定することなく

ひとつひとつ解釈を加えたら

全部納得してくれた。

『今日のことは内緒や。

オトコの約束やでぇ』と

言ったら

初めて目を見てうなずいてくれた。


それから・・・

腕の歯形を見て「痛かった?」と

ポロポロ涙をこぼしながら

謝ってくれた。

 

彼はたまたま

呪縛から解けてくれたのだろう。


しかし子どもは

15歳まではやはり

親の枠を越えるのは難しい。


だから親がショボくて

小さかったら

どうしようもなく不幸だ。


『あふれる愛情の姿をした虐待』

から何とか子どもを救いたいのだが・・・


今日も犠牲者が

目の前を歩いて行くのが口惜しい。