(29)退院してからは、ラミクタールが合っているのか、かなり平和な日々が続いた。病気のトリガーを減らすべく、バイトはもうしない方針になった。すると、これまでかなりハイペースで入院していたのだが、次男が4歳を迎えて暫くするまで、一度も入院しなかった。
年に2回程度、数日眠れない日があり、その日から2〜3週間は養生していたが、それだけで済んだのである。4年も安泰だったと言うことで、本来は、研究機関である大学病院から地元のクリニックに代わった。自宅から徒歩5分程度のクリニックである。新しいクリニックは、なかなか素敵なクリニックだった。初診は1時間以上、みっちり問診があった。大学病院では、体調に変化がない時は、特に何も話さず、予定の調整だけだった。クリニックでは、毎回、自分のことだけでなく、最近会った出来事や家族の状況などに変化が無いかなど、色々質問してくれるので、たいてい15分くらいは話す。そして、診察している中で、薬を整理しよう、ということになった。ラミクタールとエビリファイという薬を飲んでいたのだが、その2つを外し、リーマスに替えよう、ということだった。勿論、すぐに全取っ替えではなく、リーマスを徐々に増やして血中濃度を安定させ、半年か一年くらい様子見て、発作の頻度が下がっているようであれば、徐々にラミクタールとエビリファイを減らす、という方針になった。
ところが、クリニックに替わって2ヶ月くらいが経った頃、また酷い発作が起きた。眠れない、小遣いの浪費、人を呼ぶ、よく喋る、怒りっぽくなるなど、症状のオンパレードである。普段ほぼ喧嘩せず、仲のよい夫とも、この発作が起こると、激しく喧嘩し、この時は私が顔をビンタしたことに怒った夫が3発顔をパンチするなどという酷い喧嘩もした。夫が私に手を挙げたのは初めてのことだった。夫も限界だったのだ。今までの発作でも、1ヶ月で4〜6万円の浪費があることはあった。カードで支払いをしたりもするため、夫から借り、毎月¥5,000ずつ返したりしていた。そこで、この時から、私のクレジットカードは解約する事になった。
クリニックで夫と一緒に受診した。主治医はすぐに入院の判断をしてくれた。これで、夫と望まない喧嘩をしなくて済む、とほっとした。しかし、クリニックには入院出来ない。提携病院も紹介されたが、見ず知らずの場所より、勝手が分かっている方がいいと思い、地元の病院か京大病院を希望した。たまたまベッドの空きがあり、地元の病院への入院か決まった。