4年前の9月、
ホームレス生活の末、最初に借りた学生仕様のアパートから、現在のマンションに引っ越して7日後のこと。
「郵便です。サインをお願いします。」
厚い書類の入った重要と書いてある郵便物を受け取った。
開封して書類を読んだ。
「通知並びに勧告書」
貴殿並びに株式会社○○○○の保証により、債務者F氏(元夫)に対してご用立ての平成○年○月○日付金銭消費貸借契約に基づくご融資金については、F氏代理人弁護士〇〇○○殿宛通知により、平成○年○月○日をもって期限の利益を喪失しております。
つきましては、直ちに同契約による下記残債務全額を直ちにお支払い下さい。
万が一お支払い無き場合には、上記保証会社宛代位弁済請求の手続きを致しますので、あらかじめご承知おき下さい。
記
金員の表示
金3,021,146円也
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まただ…。
同じ市内に住んでいた既婚の長女に電話し、元夫の投げた債務が回ってきたと報告。
長女から、連絡が行ったのだろう。
程なくして元夫から電話が掛かってきた。
「悪かったよ。あんたが連帯保証人になってる事なんて、知らなかったんだ!」
「知らなかったって、何?あなたは、いつもそう!無一文で家を追い出しておいて、今度は300万支払え?もう、いい加減にして!」
話しているだけ無駄。
「法テラス」へ電話し、
自己破産申請をしたい旨、伝えた。夕方までに、弁護事務所から連絡が入るとのこと
次に、銀行の融資係の方に電話した。
ことのいきさつを聞いた。
私が、連帯保証人になっているとのことだった。
しかし、私はそんな覚えは全くないと伝えた。
法律相談の予約日を知らせてくれた。
弁護士を依頼したことで、降り掛かってきた債務の督促は止まった。
その日から、約半年に渡る長い戦いが待っていた。
弁護士は、若いけれど信頼出来る女性だった。
私の事を、ラムさんと呼んで下さった。
毎月1回、弁護事務所に通い、必用な資料を提出した。
過去3年間の電気光熱費、携帯電話の領収書。
住民票、印鑑証明証その他、聞いたことのない書類等、様々な書類を用意した。
毎月の収支報告書も、1円たりとも抜けがないように作成した。
弁理士から言われた通り、必要な書類を提出した。
約半年後、
これらの提出書類と私の話を纏めて、裁判所へ提出する書類を作成して戴いた。そして、翌年3月末、裁判所へ出向き、弁理士同席者のもと裁判官と面接。
弁護士や裁判所が使う難しい専門用語が飛び交う中、私は黙って頷いた。
「本日午後6時に、申立て人に対する免責*******を開始します。」
専門用語で言われたため意味が分からなかったが、弁護士が「頷け」とウインクで合図。
ようやく、300万円の免責が許可され、自己破産が決定した。
これにより、
1年だけ住まわせてもらった街にいた時、東京の弁護士に依頼して、債務整理しておいた借金も全て無くなった。
生活保護受給者の私は、法テラスが立替えてくれた弁護士費用の支払いが免除になった。
若い女性弁護士は、裁判所からの
「自己破産決定通知書」
を私に渡してくれながら、
「ラムさん、良かったですね。生活は今まで通り変わりません。無事に事件を終えました。」
深々と頭を下げた。
この頃、私は、自分の体の異変に気付いていた。
横断歩道を青信号の間に渡り切れないおかしな
足運び。
自分の体に何が起こっているのか分からなかった。後に、
「難病パーキンソン病」と判明した。
また、新しい挑戦が始まった。
私は負けない!