ダイオキシンの毒性について | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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おはようございます。


先日、僕が以前書籍の紹介をした記事について

「ダイオキシンの毒性がほぼ無害である」

という記述が相応しくないという点でご忠告をいただきました。


ダイオキシン公害として有名な「カネミ油症」など

実際に健康障害を来たしている点で

被害者の方が見られたら快くないであろうということです。


その点に関して既に記事を改めているのですが、

もし気分を損なわれた方がいらしましたら

大変申し訳ございませんでした。


ダイオキシンは紛れもなく毒物であり、

許容量以上吸入すると当然健康被害が出ます。

ですがダイオキシンの毒性は、

本来言われているよりも実はかなり低いものであった、


という趣旨の記述のつもりでありましたことを

この場で弁明いたします。

この件に付きましてもう少し詳しい説明を付け足しておきます。



まずこれは一科学者としての見解であり、 

これ全てが僕の考え方ということではないということを 

ご理解いただきたいところでございます。 


一個人としてはカネミ油症によって多くの人が苦しめられている

ということについて僕は大変憂慮しております。 


しかし科学者としてはデータで物事を判断する必要があり、 

その為には少々冷酷に映る物言いが見られるかもしれないことを 

予めご了承ください。 



カミネ油症はダイオキシンの毒性の高さから起こった症状ではありません。 


毒物の毒性を判断する指標は「半数致死量(LD50)」と呼ばれるもので指示されます。 


これは「g/kg」という単位で表され、例えばLD50が「10g/kg」である場合

50kgの人なら500g食べれば二人に一人は急性死亡する

という指標です。


当時ダイオキシンのLD50はおおよそ「0.15µg/㎏」(1kgあたり0.00015㎎接種したら半数が死亡する)と言われていました。 

この数字は実に猛毒の「サリン」の2倍です。 

ダイオキシンはそれほど強力な毒だと認識されていました。 

この数字ならば、本当に極々微量のダイオキシンを吸入しただけでも健康障害が現れ、内分泌かく乱作用を及ぼすとも考えられます。 

つまり当時でいえばダイオキシンの毒性はそれほど恐ろしいものだと考えられており、 

ほんの少しのダイオキシンが発生するものを作るだけでも大量殺人者となる可能性があったのです。 


カネミ油症の症状は、カネミライフスタイルの作った油が製造過程でダイオキシンの反応物であるPCBが混入し、後にダイオキシンの一種であるPCDFに変化したこと、そしてそのPCDFが体内に侵入したことが原因と考えられています。 

しかしこの際に体内に侵入したダイオキシンは、

検査の結果平均して一人0.67g。 

LD50の計算式に当てはめるとおよそ体重50㎏として13㎎/㎏です。 


元々ダイオキシンが持つといわれていた半数致死量は0.15µg/kgですので、

この数字は死亡推定吸入量の実に87000倍の数字になります。 

それでも、カネミ油症の症状は色素沈着と皮膚疾患、
子孫の精力減衰・成長障害などに留まっており、

急性死亡のケースは1件もありません。 


これらのデータからカミネ油症の後にダイオキシンの毒性判定を再検したところ、 

実際にはその半数致死量は5㎎/㎏ほどと判明し、 

この数値はサリンのおよそ15000分の1、 

本来言われていた毒性の実に30000分の1の毒素しかないという結果になったのです。 


実際にはこの数字は最もダイオキシン耐性があった「ラット」のLD50値であり、
人間での人体実験は行われていないため正確には不明。
しかし実際には平均して13mg/kg(5mg/kgの1.6倍)の摂取があったのに急性死亡のケースがないことを考えると、実際の半数致死量はさらに大きい数値になると試算されている。


つまり、カネミ油症はダイオキシンが起こした最大の公害事件であるといわれていますが、 

統計的には、

皮肉にもこの事件によってダイオキシンの毒性の低さが裏付けられた結果となりました。 


このカネミ油症は毒性の高さから起こったのではなく、 

摂取量が本来考えられる量と比較しても膨大であったことが原因です。 

つまり製品を作っていたカネミライフスタイルの衛生管理に大きな問題があったのであって、 

ダイオキシンによる健康被害 

という捉え方は科学的に適当なものではありません。 

どんな物質も、許容量を越えて摂取した場合は毒となるものなのですから。 



以上、ダイオキシンに関する補足説明となりました。