シャンプーに「硫酸」が入ってる?~炭酸より安全な硫酸の真実~ | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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化学にあまり詳しくない、という方でも

「塩酸」「硫酸」

という薬品の名前は聞いたことがあるでしょう。


どちらも法定劇物政令指定劇物両方に登録される

第一級の劇物です。


塩酸と硫酸では硫酸の方が強力な酸性度を持つため、


特に硫酸は超強力な毒薬として広く知られています。



この硫酸と呼ばれる劇物ですが、

なんと僕たちの身近なあるものに配合されている…というらしいのです。


これは本当なのでしょうか?


今日は「硫酸の安全性」というお話をさせていただきましょう。



◎シャンプーに「硫酸」が入ってる?


私たちの身近なもの、というのはそう、「シャンプー」です。

シャンプーだけでなく、

家庭に置かれる洗浄用化粧品類には入っている可能性が十分にあります。


というのは、みなさんもよく知る

「ラウリル硫酸Na」「ラウレス硫酸Na」

にその嫌疑がかけられているのです。


確かに、「硫酸」というタイトルが入っていますね…。

これは恐ろしい。

今すぐ撤廃するべきでしょうか。



しかし実際には、お分かりとは思いますがそんな心配は全くありません。


硫酸という化合物は確かに一義的には非常に強力な毒性を持っていますが、

実はある意味では、非常に安全な素材ともいうことができるのです。



◎硫酸は安全な素材?


硫酸や塩酸などの酸性物質は、

「酸性度」と呼ばれる指標でその酸性の強さを表します。


簡単にその酸性を皆さんの知っているもので並べると以下のようになります。


水<お酒<炭酸<酢<<<<塩酸<硫酸


とりあえず、私たちの身近に硫酸を超えるような酸はほとんどありません。


つまり硫酸は最も危ないという評価を下すのは間違いではないということです。



しかしこれは硫酸が、「そのまま」液内に存在していたら…

という話になります。


シャンプーの洗浄成分は当然硫酸がそのまま入っているものではなく、


化合物として別の物質に変化した状態で入っていることになります。


実は硫酸はこの状態では、

最も安全な素材と言っても過言ではないのです。



え、どういうこと?

…となるでしょう。


しかしこのロジックは化学屋さんにとっては非常に普遍的なお話です。



強力な毒薬というのは、

「強力な反応性」を持つということです。


人体にとって有害ということは、

人体の各部に対して強力に反応してしまう

という風に言い換えることができるのですね。


水銀や鉛の化合物が毒物と言われる所以は、

人の体内のタンパク質と反応して別の物質に変えてしまうからです。


硫酸という物質も同じで、

触れるとたちまちに反応を起こしてしまうため

強力な毒物として知られています。


なぜそれらの物質が反応してしまうかといえば、

熱力学的に非常に「不安定な物質」だからです。

不安定な物質は、とにかく安定化したいと思っています。

そして他の物質と反応を起こして、安定化した物質となるわけです。


言い換えれば、

非常に不安定な物質は反応すれば非常に安定な物質に変わる

ということです。


これは硫酸もその例に漏れません。

超強力な毒である硫酸は、

反応した途端に超安全な物質に変わるのです。




◎硫酸が炭酸水より安全に


硫酸バリウム、という化合物は

人間ドックなどでとても人気です。

ええみなさんもご存知の、胃カメラなどを撮る際に飲まされる、

あの乳濁色の液体です。


なんとあれは硫酸化合物です。

硫酸バッシングをなさるなら、

まずは医療用で使用されるこの硫酸バリウムを撤廃してはどうでしょうか。


では硫酸は恐ろしいので、安全な炭酸水を使った

「炭酸バリウム」でその代用をするとしましょう。


一口分も飲もうものなら、

あなたは激しい痙攣と共に命を落とすことになります。



実は、反応後の毒物が安全な物質になるということは、

反応後の安全物質は非常に危険な毒物になり得るのです。



医療用の遮光物質として硫酸化合物が用いられるのは、

硫酸化合物を反応させられる物質が体内に存在しないからです。


硫酸化合物を反応するには、

単純に硫酸以上の酸性物質でしか不可能なのです。


そんなものはこの世の中には、ほぼ存在しません。
(過塩素酸と王水と呼ばれる薬剤のみです)


炭酸バリウムが体内で毒になるのは、

胃液(塩酸)と反応して猛毒のバリウムイオンが発生するからです。


しかし塩酸は硫酸より酸性が弱いので、

硫酸バリウムを反応させることはできないのですね。




つまり硫酸は反応さえしてしまえば、

なんと炭酸よりも安全と言える物質に早変わりするのです。



◎“硫酸シャンプー”は安全・安心?


結局のところ、

なぜ最初に合成洗剤を作った際にその素材に硫酸が選ばれたのか

と言うと硫酸化合物が安定だったからです。


硫酸系の洗浄剤は、水に溶けても硫酸が分解することはありえません。

もしそんな現象を起こすならば、

過塩素酸か王水のシャワーでも浴びなければいけません。




知識の無い美容師や一般人によって、


「硫酸シャンプーには硫酸が入っているから危ない」

という根も葉もない噂が横行しています。


確かにラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Na

皮膚刺激があることは間違いないですが、

それは「硫酸」という劇物の性質とは全く異なります。


一つ正しい噂話をするならば、

硫酸性の洗剤は安定性が非常に高く

体内に取り込んでも毒になりませんし、

生態系にもほとんど悪影響を与えません。


そう言う意味では、


硫酸系洗剤というのはシリコン同様安全・安心の素材であり、

言われる程のバッシングを受けるいわれはないのかもしれませんね。




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