鬼軍曹物語
【第1話】 
地獄からやって来た鬼軍曹
車イスのともちゃん


昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。

そのご夫婦の近所に、ともちゃんという女の子が住んでいました。

ともちゃんは、交通事故の後遺症で両足が不自由なってしまった女の子です。

ともとゃんは、両足が不自由でもいつもニコニコ優しい女の子です。

でもともちゃんは、リハビリが辛くて、リハビリの時は泣いてばかりいました。
「友達と遊びたいよー。」
「リハビリは辛いよー。」

ある日の夜ことです。

ともちゃんは、泣きつかれベットにつきました。
星がきれいな夜でした。

リハビリをサボる悪い子は、
いねーかーー!!

パパやママを困らせる悪い子はいねかー!!

突然!
暗闇の中から声が聞こえて来ました。

ともとゃんは、びっくり、怖くなって布団を頭からかぶりブルブル震えました。

ごめんなさい。ごめんなさい。リハビリします。ごめんなさいーーー。許してー。

ともちゃんは、恐る恐る布団から、外を覗きました。
そこで目にしたものは!!!

角の生えた男の子でした。

枕元に男の子が立っているのです。

でたーーー!!
座敷わらしーーー!!
助けてー

大声でともとゃんは、叫びました。

「ちかうよー!ちがうよー!」

男の子は、慌てました。

キャー~夜這いーー

「ちがうよー!しーーーしずかに!!
パパとママが起きるよ。」

「僕は鬼軍曹、リハビリ地獄からやって来たんだよ。」

「あなたは、鬼軍曹?」

「そうだよ。リハビリをサボる悪い子をこらしめるのが僕の仕事なんだ。」

「へー」

「理学療法士の国家資格もあるんだよ。」

「鬼なのにどうやって国家試験受けたの?」

「そんな細かいことより、一緒にリハビリして元気になろうよ。」

「リハビリやだ、よくならない!」
ともちゃんは、リハビリを断りました。

「ともちゃんは、将来何になりたいの?」

「公務員か薬剤師」

「現実的で手堅いところ行くんだね・・・」

「ん~ともちゃん元気になったらやってみたいことある?」

「チワワのシロとお散歩すること!」

「いいね(^-^)じゃあ、その目標に向けて、一緒に頑張ってよくなろう!」

「無理!!」

「えっ!(*゜д゜*)!」

鬼軍曹は、ともちゃんをどうやってリハビリさせるか困りました。
「困ったな僕にもノルマがあるんだよ(ボソッ)」

「うん!じゃこれあげるよ。」
困った鬼軍曹は、鬼饅頭を渡しました。
(東海地方のお菓子、鬼まんじゅう)

「ありがとう(^o^)v」

ともちゃんは少し笑顔になりました。

「夜食べると太るから半分だけ食べる。」

ともちゃんは、涙をふきながらお饅頭を食べました。

「美味しいー。」

「ありがとう。鬼軍曹ていい人だね。
遊んでくれるなら、リハビリ考えようかな?」

「よし決まり、リハビリ頑張ろう!」

「ちょっと待って!リハビリ施設するところ見学してから決めてもいいの?」

「鬼饅頭は、契約した人にしか渡さない粗品だけど、まあ大丈夫だよ。
しかも、今なら体験リハビリ無料だよ。
キャンペーンは、もうすぐ終わっちゃうからね。」

勉強家の鬼軍曹は、マーケティング手法の古典が書かれ多くの人に読まれている影響力の武器は、当然読みこなしていました。
無料という言葉に弱いともちゃんは、二つ返事で見学&体験リハビリに行くことにしました。

こうしてともちゃんは、鬼軍曹に地獄へと連れ去られていきました。
向かった先はリハビリ地獄日本支出張所、鬼ヶ島リハビリステーションです。

そこで、ともちゃんが目にしたものは
それはそれは。恐ろしいリハビリ地獄でした。

起立台に縛り付けられたおじいちゃん、
地獄の平行棒
血で赤く染まったレッドコード
見るものすべてが、恐ろしいものばかりでした。

そう、まるで秘宝館にでもやって来たようでした。

さらに辺りには、リハビリをしない罪をおかした亡者たちが、苦しみながら鬼たちとリハビリをしていました。

「怖い~」
ともちゃんは、また泣きそうになりました。


「ともちゃん大丈夫だよ。僕がいるから
ここでリハビリするとダイエットや美肌効果もあってきれいな大人の女性になれるよ。」
鬼軍曹は、適当なことをいってしまいました。

「うん、私、頑張る!!」
 
ともちゃんは、この惨状を目撃して感じ始めていました。

リハビリをしないともっともっと苦しい地獄が待ってるんだ!

この地獄から抜け出すには泣いてばかりいてもダメ、元気になってこの地獄から抜け出さなきゃ!


夢か現かわからない世界で
ともちゃんは、鬼軍曹と夜な夜なリハビリすることを約束したのです。


次回に続く

次回予告、鬼軍曹の過去が次回明らかに!