失語症と擬音語 | 脳卒中で右半身麻痺、失語症を宣告された夫と支えた妻のリハビリ記録

脳卒中で右半身麻痺、失語症を宣告された夫と支えた妻のリハビリ記録

心理カウンセラー・天命カウンセリングを行っている夫。
そんな夫が56歳で脳卒中で倒れ、右半身麻痺と失語症を告げられましたが、社会復帰するために行ったリハビリと、自主トレのお話。
そして、家族ができる事をお話します。

夫さんは脳卒中による失語症があります。

発症した当初、夫さんは「あのね。あの。えっと」しか言葉を話すことができませんでした。

一日中、「あのー、あのね、えっと、えっとー」を繰り返す毎日が続いていたくらいです。

それから、少しずつ話すためのリハビリ、書くためのリハビリ等を繰り返して、今は随分話せるようになってきました。

でも、肝心なところが全て擬音語での表現となるのですね…


例えば、「ドライヤーで髪の毛を乾かす」という文章について、夫さんは
「頭をビュービュー」と表現します。

なんか分かるような分からんような表現。
その時の状況で何となく察することはできるけど、正確な表現でない可能性もあります。

しかも、ゆっくり時間をかければ正確に「ドライヤーで頭を乾して」って言えるのに、夫さん自身が焦っている時や、周りに人がいて会話に時間をかけられない時は、擬音語が増えるのね。

でも職業柄、夫さんには正確に話すという習慣を取り戻して欲しいのです。

焦れば焦るほど言葉が詰まるし。
擬音語の表現になるし。
主語自体が、「あれ」「それ」になってしまうし。

夫さんが急性期病院にいた時も、回復期病院に転院したときも、「夫さんの会話を遮らずに待つ」というスタンスは今も変わりません。

こちらから言葉のヒントをバンバン出すと、夫さん自身が話すことをやめてしまう気がしたからです。

おまけに、私がヒントをバンバン出すようになったら、将来きっと「さんの言いたい言葉」を正確にパスできる事が、当たり前となってしまうだろうし。
それが出来なければ、夫さんがイライラするのかもしれないし。

だから、何分かかっても、夫さんが言葉を引き出すのを待つようにしたのです。
そのおかげか、夫さん自身が自分で話すことを諦めなくなったと思います。

なんとか一生懸命話す様になったのです。
でも、スラスラ言葉は出てこないし、擬音語でごまかすクセがある。

今は、擬音語表現での表現わ、正しく言い換えられるようにしていきたいね。
…って言っても、私も言葉が出てこないときは擬態語も擬音語も使っているのですが…


リハビリって、ホントに一足飛びにいかないわ。
家族にとっては「待つ」という根気がめちゃくちゃ必要なのだと、いつもシミジミ思うのでした。