脳卒中で右半身麻痺、失語症を宣告された夫と支えた妻のリハビリ記録

脳卒中で右半身麻痺、失語症を宣告された夫と支えた妻のリハビリ記録

心理カウンセラー・天命カウンセリングを行っている夫。
そんな夫が56歳で脳卒中で倒れ、右半身麻痺と失語症を告げられましたが、社会復帰するために行ったリハビリと、自主トレのお話。
そして、家族ができる事をお話します。

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ケガをした人のリハビリと、病気でその機能が失われた方のリハビリとは、リハビリの仕方が根本から違うんだよね。

っていうのは、私自身がケガした経験からあらためて理解した事でございますガーン


ケガをして一時的に機能が失われた場合、体の部位を動かす神経は残っているんですよね。
弱くなっているのは、それを動かす筋力なのです。
体のある部位が動かなくなったとしても、それは長期間動かさなかったから「その部位を動かす方法を一時的に忘れただけ」なのでございます。

だから、少しリハビリをすれば動かし方は思い出す事ができるし、筋力が戻れば少しずつ元の生活に戻れるのです。
ただし、ケガといっても、体の機能を失うほどの大怪我だったり、ケガが治らずそのまま症状固定となった場合は、話は別ですよ…ショック


でも、病気でその機能が失われた時はどうでしょう?

そもそも機能が失われたということは、動かし方がわからなくなっている状態です。

「どうやってこの腕動かしたらいいの?」
っていう状態になった方に、動かし方を分かっている前提のリハビリをしてもダメなわけで…


例えば、脳卒中で片麻痺になった当事者さんのリハビリが難しいのは、当事者さんご自身が麻痺した方の手足を動かす方法が分からなくなってるからですね。

「無駄な力をいれずに、必要な部位だけに力を入れて動かす」というのが、自然な動きなわけですが、こんな当たり前と思われる動作が難しいのです。

じゃあ、どうしたら自然な動きが学べるの?

と、言うことが解説されている動画があります↓



【促通反復療法アイ日記13】がんばらないでがんばろう!




失われた機能を再度獲得するには、一人だけでは難しい。
少しでもきっかけを獲得するまでは、動かし方を教えてくれる人の存在は必要なわけですね。
それが、リハビリというものなんかなぁと思います。

普段何気なく受けているリハビリでも、そのリハビリが何のために行われているのか、リハビリの必要性とは何?…という基本に立ち返らせて頂きました。
ご無沙汰しています。

私も無事退院して、少しずつ社会復帰に向けて体慣らしをしておりますウシシチョキ

私がケガの治療に専念している間に、YouTubeで↓


↑こんな素晴らしい動画が見られるようになってましたキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

投稿してくださってるアイさんは、促通反復療法で有名な方でございます乙女のトキメキ

ちょっと専門的な言葉が使われているところもありますが、それが逆にピンポイントで分かりやすい体の部位の説明になっていたりするのです。

動画の投稿数も結構多いですから、勉強になります。

私が勇気をもらえた動画の1つは、アイ日記1「脳卒中片麻痺はよくなるのか?治るのか?」でした。
私の夫さんも、脳卒中発症後半年くらいで一度OTさんから「半年の壁」に関する話をされました。


それは…
発症後半年で、リハビリの効果も頭打ちになる。
それ以上頑張っても、片麻痺が改善することはない。
だから、利き手交換をして右手での生活は諦めていきましょう。
…というような話。


夫さんも私も愕然としたし、その直後から必死に他のリハビリを探し始め、改善の可能性を模索し始めたんです。
一生懸命リハビリを頑張る夫さんを、奈落の底に突き落とすようなあの言葉の数々がありえないと思ったし、信じたくなかったのです。


あの頃の私と夫さんに、この「アイさん」のYouTube動画を見せたいくらい。

それくらい勇気をもらえる動画でした。


コロナ禍で色んな集いができなかったり、学ぶことも難しかったりしますが、こういう動画があるとすごく嬉しいですね。


ご興味あれば、一度見てみてね☆
脳卒中で片麻痺になったら、当事者さんはもちろんのこと、ご家族さんも不安になりますねえーん

どんな未来が待ってるのか?
どんな生活が待ってるのか?
どんなリハビリをすれば良いのか?
家族はどう振舞えば良いのか?


そのほか沢山の気持ちが合わさって、完全思考停止な期間がありました。
最近、近所に脳卒中を発症させた方がいらっしゃって、そのご家族さんも「どうしたら良いか分からなさすぎて」意気消沈していらっしゃいましたショボーン


と、言うことで、今回の投稿は過去に遡って、夫さんのリハビリを見てて思ったことと、家族が出来そうなことについて書いてみたいと思いますウインク


キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ


私は当時、脳卒中とか脳梗塞とかの区別や意味も全く理解できていない状態だったから、脳の一部の機能を失われた人っていうのが全く理解できてなかったのです。


回復期病院でリハビリを終えて退院してきた夫さんは、麻痺手を眺めて
「この手はどうやって使ってたんかな」
と、ボンヤリ言いました。


約半年前まで当たり前に使ってた手に対して、もはや「どうやって使ってたか分からない」と言ってしまう夫さんには衝撃を受けました滝汗


当時の私は、脳細胞が死んでしまった後でも、「手の動かし方はすぐ思い出せるんじゃないの?」と軽く考えていたからです。

思い出せるって本気で信じてたんです。


でもね、そうじゃなかったアセアセ



夫さんは、自らの体についている手を理解できなくなっているのです。

もはや、ただ体にくっついてるだけの手。
どうやって使ってたか分からなくなった手。


こんな状態の夫さんに、麻痺手を動かすリハビリを自発的にやれなんて、絶対的に無理だったのです。

もちろん当時は、通院のリハビリや訪問リハビリを受けていましたので、右手を動かすための学びは始まっていました。

が、本人が麻痺手の存在を自覚して動かすと言う気持ちは皆無です。
リハビリで学んだことだけが、夫さんに出来る日常でした。


と、言うことで、私は夫さんの日頃の行動を細かく見る事にしました。
そして、今の夫さんが麻痺手で出来ることを、日常生活でも実践させる様にアドバイスしました。

例えばバナナを食べる時バナナ

健手で食べる方が早いけど、あえて麻痺手にバナナを持たせて、麻痺手で食べる。
すると、麻痺手が生活の中で活躍できる様になってきます。

それを習慣にしてもらう為に、バナナを食べる時は毎回声かけをして
「右手(麻痺手)でバナナ食べてね」
と、促します。

何度も何度も繰り返していると、麻痺手でバナナを食べるようになってくれます。

夫さん、麻痺手で食べるのは、とてもイライラするみたいでしたが、辛抱強く食べてくれてました笑い泣き


こうやって、その時のレベルに合ったことを日常生活でも取り入れる事は大切だと思います。
でも、これは片麻痺当事者さんには気づけないことです。

だから、家族が当事者さんをよく観察して、アドバイスをしたりさり気なく促したりする必要が出てきます。


一見面倒ですが、将来の回復のためには必要なステップだと思いましたチョキ


片麻痺のリハビリは、孤独とのたたかいです。
そこに家族が介入していくのは、時として難しいものです。

が、出来た時の喜びを一緒に味わうことができたら、次のステップに続いていけるのではないかと思ってます。

我が家もまだまだ長い闘いですが、頑張りますよニコニコ



失語症になってしまった夫さんと会話をする為には、ちょっとしたコツが必要でした。

夫さんの発話量がとても多くなる時と、調子が悪い時とがあったからでした。


発話が増える時が=体調が良いもやもや


という捉え方もあります。
脳の中の事だから、日によっては絶好調の日も、そうでない時もあるのです。


でも、それだけではありません。


夫さんの発話が増えるのは、夫さんの興味がある内容を話す時だったのですキラキラキラキラ


それとは反対に、夫さんの発話が格段に減るのは、日常生活の何気ない会話でしたタラー

例えば、「さっき、近所の公園で桜がキレイに咲いてたよ」という話をしても、全く興味が持たなければ、話の内容すら理解もできません。


でも、「今日、おはぎとバナナが安く売ってたけど、どっちが食べたい?」というような話をすると、スグに返事ができるというような感じニヤニヤ

話題によって、回答の可否が異なるのです。


と、いうことで、

私は夫さんの興味ある話ばかりをする事にしました。
不思議なことに、文字の読めなかった夫さんは、興味のある事についての本だけは読んでみる試みをしていました星

ブローカ失語に関するリハビリの糸口も人それぞれですが、興味のある事から発話に結びつけたり、文字の理解に結びつけるという方法はアリだと思いますグッ


私の知り合いの方で、脳卒中からの片麻痺・失語症になった方がいらっしゃいます。

その方が、好んで読んでいらっしゃるのがコレ↓

すごくないですか?

もはや数字の羅列にしか見えない時刻表を、とても好んで見ていらっしゃるのです。

ブローカ失語になったと言って、読書も発話もできなくなったと諦めるのは早いかもしれません。


その方の超興味ある事が分かれば、そこから発話の頻度が増えるかもしれませんし、文字の認識ができるようになるかもしれませんチョキ

そのためにも、当事者さんが発症前に興味を持っていた事はよ〜く思い出してみましょうね☆






わが夫さんは、2016年に脳卒中を発症させてからずっと失語症でございます唇

失語症と言ってもいろんな種類があるけど、わが夫さんの失語症のタイプはブローカ失語です。


相手が話してる事は理解できる(でも、話すスピードが速すぎるとリスニング不可)もやもや

それなのに、自分が話したい言葉が頭の中でグルグル回るだけで、口に出して発話する事ができないえーん

っていうのが、大まかな状態なのですえーん


頭の中で漢字が回ってる。
頭の中で映像が回ってる。
頭の中で言葉が回ってる。


夫さんはいつも、上手く受け答えできない時にそんな言い方をします。


ホントに頭の中では、言いたいことや表現したい事が出てきてるのでしょう。

でも、それを脳から口へと繋がる神経回路がダメになってるのでしょう。

ブローカとは仲介。


脳卒中を発症した時、夫さんの脳から口へと仲介してくれる神経回路は死んでしまったのでしょう。
新たに仲介する神経回路が出来上がらない限り、

「あなたが話してる事はわかるよ。でも、私はそれに答えられないんだよ」

ってな状態が続くのですチーン


家族が失語症になった時、皆さんならどうするでしょう?
失語症の種類によって、推奨される対応は異なります。
でも、絶対にやったらあかんのは↓コレを相手に渡すってこと。



上手く答えられない相手に、文字盤を渡して話す様に促すのはムリです。
わが夫さんも、これは大失敗しました。
そもそも、最初は文字を認識することすらムリやし滝汗

で、ブローカ失語で推奨された対応方法は、失語症人がやりがちな指差しに対して、「○○したいの?」と、こちらから答えを導いて聞くこと。


これは簡単にコミュニケーションが取れるし、時間短縮にもなる。
失語症当事者がラクなコミュニケーション方法だけど、当事者が話す機会を奪ってしまってはいないだろうか?


最初は私も↑の方法で対応してました。

夫さんがお腹をさすったら
「お腹痛いの?」
「トイレに行きたいの?」
って思いつく限りのことをこちらから答えたりして。

でも、夫さんはだんだん話そうとしなくなってきたんですよ。
指差しだけで終わらそうとして、私が理解できない時は怒り出したりして…ショック

うーん。
これは悪循環じゃないか?
理解されなくて怒りだす夫さん。
一生懸命頭フル回転させてるのに怒られて理不尽な私。
お互いにとって精神衛生上良くないかもしれないチーン


しかも回復がどんどん遠のくぞ。


って事で、私は「私から答えを促す」っていう行為をやめたのです。


どうせ精神衛生上良くないので有れば、回復に一歩でも近づく努力をしようと思ったのです。

それは…


夫さんが少しでも発話するまで待つ


という選択でした。
最初は一文字発話するのにも時間がかかりました。

一つの話題を3日間かけて話したこともあります。

私も相当の忍耐力をもってなければ、イライラするし。
発話するまでの間は、すべての家事の止めて、夫さんの前に座って言葉が出てくるのを待っていました。

その間も、二人でコツコツ続けたのは言葉カードでした↓

絵を見せて、その絵が何なのか名前を当てるという単純なリハビリ兼遊びです。
最初は2文字の物からチャレンジ(例えば、柿・梨)して、言葉の数を3文字→4文字とドンドン増やしていきます。

それを地道に繰り返していくと、少しずつ夫さんにも変化が出てきました。

一言だけでた言葉に喜び、
次は二言、更に三言…と発話の数が増えるのを待ち続けて、今の夫さんがいます。

今の夫さんも、まだまだ普通とは言えない発話量ですが(笑)、脳卒中発症当初から比べたら随分と発話数が、増えた気がします。


続けたことは無駄ではなかったね。

お互いに、待つ・待たれるというのは、時間の流れが超スローになって精神的な忍耐力を必要としますが笑い泣き

それでも、夫さんのリハビリになるならば、そういう努力は無駄ではなかったかなと思っていたい今日この頃ですチョキ