今回のカバーニャス県ドライブ旅行、最後の目的地はシンケラの森 (Bosque de Cinquera) です。
実は昨年1月、この国で生活するためにアパートを借りた時、仲介不動産屋のおばさんからいただいた雑誌にシンケラの町とこの森が紹介されていて、その時以来、来てみたいと思っていた場所でした。1年半経って、ようやく実現させたわけです。
町から約500メートル。森の入口が思っていたよりショボく(失礼!)、森の表示ではなくレストランの看板が目に入ったので(紛らわしい所に立てるなと言いたい)、一旦はそこを通り過ぎてしまいました。しかしすぐにそうと分かって引き返し、時間のロスはほんの10分程度でした。
入園料は、外国から来た人は幾らか分かりませんが、現地在住者である私の場合は、入園料と駐車料で合わせて5ドルでした。
森の中には所々に案内板があり、ガイドなしでも余裕で歩けます。
遊歩道も整備されていて、最初の方ではこのように舗装されており、小川には飛び石も置かれています(最初の部分だけですが)。
森に入ってすぐの所に、このように円を描いてくるくるカールしている、実に不思議な形の木がありました。森のシンボル的存在のようです。
エル・サルト (El Salto) という名前の淵。「サルト」とは「小さな滝」という意味で、説明板によると、250万年前の岩が露出した部分を水が流れ落ちていることからこの名が来ているとのこと。この「サルト」の上にも別の淵があり、そこは木々に隠れていることから「愛の片隅 (Rincón de Amor)」と呼ばれているとか。
その「片隅」で人々は何をするのやら(笑)。
この見える方の淵では、4人のお姉さんたちが水浴びをしようとしているところでした(結構濁っているんですけど)。私を見ると、「その(一眼レフ)カメラで私たちを撮って」と言いますが、「このカメラで撮るとあなたたちに送るのが面倒だから、私のスマホで撮ってあげる。それを今送ってあげます」と言ってスマホで撮影したものの、森の中では携帯電話の信号がなく、送ることができませんでした。そこで私の電話番号を渡し、WhatsApp で連絡を取るように言いましたが、それ以来、彼女たちからは連絡がありません。
土の遊歩道を上って行きます。
写真を植物同定アプリの Pl@antNet にかけるとアリベルティア・エドゥリス (Alibertia Edulis) が一致率78.4%。熱帯アメリカ産ですが、主に南米に分布する木のようです。園芸植物にもなりそうな綺麗な白い花ですね。
というか、この森のも、誰かが植えたのかも。
森にはこのような立派な展望台があります。
そこから見下ろしたシンケラの町。やはり小さいです。
こちらはレンパ川 (Río Lempa) の人造湖であるスチトラン湖 (Lago Suchitlán) 方面。
チーオ (Chío) ことキバラオオタイランチョウ (Great kiscadee) がここにもいました。本当に、この国のどこにでも出て来ます。
キノコは同定を断念。
この森のハイキングでは、一つの目的地とも言えるでしょう、ラ・ブルーハ滝 (Cascade La Bruja) です。訳せば「魔女滝」。何か伝説がありそうな名前ですが、今のところ、そのような話は聞いていません。
滝自体は小さく、落差も10メートル程度でしょうか。ネットにはもっと水量の多い動画がたくさん出ていますが、これっぽっちしか流れていないのは、最近この辺りに雨が降っていないからでしょうか。ただ、6月は雨季ですし、この数日後にエルサルバドル全土を大雨が襲っています。それとも、気候変動か何かで近年水量が減ってきているのでしょうか。
とにかく空気は湿気を帯びており、蒸し暑いです。歩いていて、汗がダラダラ流れてきます。
こんな葉っぱがお慰みの清涼感を与えますが、気のせいです。蒸し暑いです。
キバラアカメモズモドキ (Yellow-green vireo) のようです。似た別の種もありますが、頭部の筋のコントラストがはっきりしないところや、脇の部分が黄色っぽいところなどからして、多分これでしょう。
前回の記事に予告しましたが、この森にはエルサルバドル内戦の時にゲリラが潜伏しており、その跡が残っています。これはベトナム・キッチン (Cocina Vietnamita) と呼ばれる調理場跡。空から国軍機に見つからないように、ベトナム戦争のゲリラの調理場に倣(なら)って、調理で生ずる煙を地下で冷却して大気中に上らないようにするなどの工夫がしてあったそうです。
この記事を書くに当たってネットで調べたら、この方式は、発明者の名前に因んでホアン・カム・ストーブというそうです。Vietnam.vn というサイトに詳しい説明がありました。
今度はレモン色の綺麗なキノコが生えていたので撮りました。いかにも毒キノコっぽい色と形ですね。
これなんかは、えのき茸の赤ちゃんみたいな感じですが、やっぱり食べられないんだろうなぁ……。
最後は、地元でアマテ・ブランコ (Amate Blanco) と呼ばれている木。樹皮は白っぽく、葉も灰色をしているこの木は工芸用の石灰を生産していた窯(かま)のあった所で育った、と説明板。ただ、葉はよく見えませんでした。
これと言った瞠目(どうもく)すべきものは、敢えて言えばベトナム・キッチンくらいでしたが(あっ、とぐろを巻いた木もそうか)、距離もあまり長くなく、高低差もさほどなく、整備されていますので、気軽にハイキングのできるスポットと言えます。
ただ、乾季に来ていれば、もっと快適だったでしょう。