ソンソナテ県北部旅行(2)ラス・シエテ・カスカーダス(七滝) | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

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エルサルバドルに単身赴任中。
気候が良く日本より健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意すべきは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

4月20日(土)。旅行2日目のメインのアクティビティは滝巡りです。ラス・シエテ・カスカーダス (Las Siete Cascadas) とカレーラの滝 (Chorros de la Calera) を訪れる半日ツアーに参加しました。前者は訳すと「7つの滝」。なので、合計8つの滝を巡るわけです。

 

 

宿の予約時に宿のオーナーから教えてもらった現地の、すなわちフアユアのエージェントが主催しています。料金は、何と破格の安さの10ドル(約1,500円)。ただし参加者が1人の場合は15ドル(約2,250円)。それでも安いです。

朝8時半に中央公園の教会前に集合です。

 

 

しかし素泊まりの宿ですから、その前に朝食を。ローカルなものを食べてみたかったので、ローカルな食堂に入ってみました。中央公園のすぐ近くにあった食堂&ププセリア・ティータ (Comedor & Pupusería Tita) です。賑わっています。

 

 

ショーケースの中に置かれた幾つかのトレイから選んで取ってもらう、当地では典型的なシステムになっており、私はその中から、写真の大皿の12時方向から時計回りに、クルティード (curtido)、目玉焼き (huevo estrellado)、カサミエント (casamiento)、ソーセージ (chorizo) を選びました。クルティードは以前、ププーサについて書いた記事にて紹介していますが、ザウアークラウトのようなレリッシュキャベツです。通常はププーサの添え物なんですが、野菜が欲しい私としては特別に頼みました。この店のクルティードはそれほど酸っぱくなくあっさりしていてコールスローに近かったです。私はこの方が好きです。カサミエントは豆ペーストの混ぜご飯。それと、安い店のコーヒーはインスタントであることが多いのですが、この店のはそうではありませんでした。

ご覧の品で、コーヒーを入れても1.75ドル(約260円)。さすが庶民の店です。3週間前にプエルトリコを旅行していて、食事の、いやあらゆるものの値段がメチャクチャ――今の若者には「メッチャ」の方が自然かもしれませんがアラカンの私には抵抗がある――高かったことを思うと、この安さはひときわ嬉しいです。

では、腹ごしらえもできたところで中央公園に集合。

定刻に所定の場所へ行くと、徐々にヨーロッパ系の若者が集まってきます。15分ほど遅刻して来た若いオーストリア人女性2人を入れて総勢13人。歩き始める時にそれぞれの簡単な自己紹介がありましたが、ドイツ人が5人と多く、他にイギリス人2人、オランダ人2人、それとアメリカ人の黒人が1人。エルサルバドル人はいませんでした。スペイン語を話すドイツ人男性がいて、聞くとスペイン語の教師をしているとのこと。休職してカップルで中米を1年旅行しており、今はその10か月目、あとはグアテマラを残すのみだそうです。いいですねえ、そういうライフスタイル。

という私も今までに長期間仕事をしていなかったことがあり、2か月のチベット旅行、2か月の四国遍路をしていますから、似たようなものかもしれませんが。

ガイドの名はエルメル。もちろん案内は英語です。

さあ、出発です。今回の記事では「七滝」をご紹介します。

町から出て、ゆっくりの車で10分余り。森に入ると、そこに滝が点在しているわけです。狭い範囲に7つの滝が密集しており、2、3メートルから30メートルくらいの落差があります。それぞれの次の滝へはせいぜい数分以内のところにあるので、短時間で回れます。立ち止まらなければ1時間くらいで制覇できるでしょう。

ツアーが終わる時に「道標が全くないから、やっぱりガイドなしじゃ回れないよね?」とエルメルに聞くと、「いや、自力でも回れる。しかし道に迷ったり遠回りしたりして結構時間がかかるかもしれないので、ガイド付きがいい」と。

 

 

それぞれの滝には番号が付いており、ツアーではその番号順に進みます。これは第1の滝 (Cascada 1)。流れは細いですが、何条も流れ落ちているので涼しげに見えます。

 

 

第2の滝 (Cascada 2)。道の脇、木々の間にある小さな滝です。すだれ状に流れ落ちていますが、ちょっと水量が少ない。

 

 

2、3か所でこのように川を渡ります。ちょうどいい間隔で自然の飛び石があり、(他の季節は分かりませんが少なくとも4月は)水量も多くはないので、さほど危険は感じません。

 

 

第3の滝 (Cascada 3)。いいですねえ、このベールのような白い幕。清涼感が大ありです。

 

 

第4の滝 (Cascada 4) は右の本流が最大の落差。ここで、エルメルは本流の左の岩を颯爽(さっそう)と攀(よ)じ登って木の大枝にロープを繋ぎ、一方の端を下にいる我々の方に垂らします。

 

 

はい、そうなんですね。滝登りなんですよ。いきなりシャワークライミングになりました。

私は一瞬たじろぎました。もしどうしても登れないのであれば、迂回路があったのかもしれません。しかし皆さん登って行きます。参加者の中で恐らく最年長である私ですが、負けてはいられません。

もっとも、それこそ文字通り「年寄りの冷や水」かもしれませんが。

 

 

後の方の順番でしたが、やっぱり登っちゃいました。これはエルメルがスマホで私を撮ったもの。

ほかに動画も撮影してくれたのですが、モザイクのかけ方が分かりませんし、最初の方で足を滑らせて前に倒れ、下半身がびしょ濡れになってしまったので、みっともなくてアップできません(汗)。

 

 

第4の滝の滝登りを難なくこなし(嘘)、更に登ると第5の滝 (Cascada 5)。恐らくこれが一番幅の広い滝でしょう。記念に自撮りをしました。

 

 

第6の滝 (Cascada 6)。この小さな滝の中段を濡れながら渡る道と、濡れない下道とに分かれていますが、カメラを手にして歩いて所々で撮影したかった私は、参加者の中で唯一下道を歩きました(第4の滝ではビニル袋に入れてバックパックにしまい込んでいました)。決して怖気(おじけ)づいたわけではありませんよ。

 

 

つまりこういうシーンが撮りたかったわけですな。

 

 

カメラを持って歩くと、ほかにもいいことが。野花を撮ることができます。この画像を例によって植物同定アプリの Pl@antNet にかけるとルエリア・ステモナカントイデス (Ruellia stemonacanthoides) が筆頭で出てきましたが、一致率が23.2%しかなく、ちょっと確信が持てません。

 

 

こちらはアラキス・ピントイ (Arachis pintoi)。一致率89.9%ですから、まず間違いないでしょう。原産地はブラジルだそうですが、世界中の熱帯・亜熱帯地域に広く分布しているようです。

見るからにマメ科の花の形です。

 

 

これは私も一瞬で分かりました。コーヒーの花です。農園からはみ出したのでしょう、森に咲いていました。あるいは森の中でも栽培しているのか。画像を Pl@antNet にかけると、果たしてアラビカコーヒー (Coffea arabica) が一致率72.5%で出てきました。

 

 

前を歩いていた女性が立ち止まってスマホを木の幹に向けたので目を遣ると、セミの抜け殻が幾つもありました。

周囲は蝉時雨(せみしぐれ)が騒がしいです。

 

 

おっ、マンゴーが道端に落ちています。誰かが落としたわけではなく、そこにマンゴーの木が生えているのです。この国ではありきたりの光景です。

 

 

最後、第7の滝 (Cascada 7) の、これは支流です。

 

 

そのちょっと先に本体があります。このように、何条も横長に連なっています。落差は2、3メートルといったところでしょうか。

 

 

今回の記事の最後は、やはり花で締めくくります。インパティエンス (Impatiens flaccida) が一致率65.5%でした。近縁種は園芸植物として知られており、分布も世界中に広がっているようです。

あるいは、今回載せた花で自生しているものは一つもないのかもしれません。少なくともコーヒーやマンゴーは自生しているわけではないでしょう。

次回はもう一つのカレーラの滝、更にその後の食事などについて書きます。