さて、一か月余りに亘(わた)って長々と続けてきた連載も、今回が最終回です。帰りの飛行機の乗り換え空港であったコスタリカのサンホセ国際空港で起きたこと・過ごしたことについて書きます。
エクアドルへの往路にはパナマのコパ航空を使いましたが、帰路はコロンビアのアビアンカ航空です。8月5日、11:15キト発12:25サンホセ着のAV646便、16:50発サンサルバドル18:05着のAV638便。時差1時間を考慮して、合計所要時間は7時間50分、うち4時間25分が待ち合わせの時間です。写真はサンホセで撮ったAV638便。
サンホセ国際空港はさほど大きくないですが、店屋が多い割に整然としてすっきりしている印象を受けます。
実はここで小さなトラブルがありました。
キトの免税店で買った自分用と日本人同僚向けの土産の酒瓶2つ(375ml、一本10ドル=約1,500円)。安全チェックの後で買ったものなので、機内持ち込み可能な液体であるはずです。にもかかわらず、サンホセでのトランジットの際に荷物検査があり、係員のおばさん、「ちょっと荷物の中身をあらためさせてください」と。「あ、これですか」と私はその酒をバックパックから出して、「キトの空港の免税店で買ったものなんですが。イミグレの後で買ったんですよ」と。しかし、「これは取り上げます」と。えっ?! キトで一旦荷物検査を通り、その後の液体購入可能な場所で買ったんですが。
つまりは、サンホセ空港内の免税店で買ったものでなければ、危険液体の可能性があるので没収対象ということ。エルサルバドルへの直行便であれば、もちろんこんな事は起こりません。たまたまサンホセでは、他の国ではないことも多いトランジットでの手荷物検査があって、しかも他国の手荷物検査を通っており、免税店の特別のビニール袋に入っていても、とにかく他国で買ったものなら没収というわけです。
(事情をご存じない方への解説:テロ防止対策のため、飛行機の機内には100ml以上の液体を持ち込むことが禁止されています。サリンとかだとヤバいですから。ただし、手荷物検査を受けてイミグレを通過した後、ゲート前の免税店で購入した液体であれば、危険性がないとして機内への持ち込みが許されています。そして、免税店で買った証拠に専用の透明のビニール袋に入れて密封されます。サンホセ空港のトランジット手荷物検査では、これが「外部から持ち込まれた液体」と判断されたわけです)
仕方がないから、エクアドル土産にはならないけれども、サンホセの免税店で酒の買い直しです。地元産のラム酒、200mlが17ドル(約2,500円)を2本。
いやぁ、それにしても高い!
全くもって理不尽な話です。34ドルも支払ってエクアドル産でもない土産を買い直したことがアホらしく感じられます。
腹を立てていてもどうにもなりません。とにかく待ち時間があるので食事です。入ったレストランはマリンチェ (Malinche)。クラフトビールを出しているというのがこの店を選んだ最大の理由。
ビールはその中のパッションフルーツ入りジューシー・ペール・エール (Juicy Pale Ale con Maracuyá)。アルコール度数5.5%。一杯が12ドル(約1,800円)とは法外な値段とも思えますが、こういう所で物の試しに飲んでみるのであれば、このくらいは出すのも仕方がないか。
「濾過していない藁(わら)の色の濁ったビール。パッションフルーツのアクセントのあるトロピカルな香り。ブドウや他の甘いフルーツの味で、中程度でつややかなコク (cuerpo medio y sedoso)。かすかな苦味がしますが最後にはバランスのとれた味がします」とメニューに。
「トロピカルな香り」とか「つややかなコク」とか「最後にはパランス」とか、不可思議な形容語句が羅列されていて、説明を読むと一体どんな味かかえって分かりにくいですが、来たのを見たらそれほど濁ってもおらず、飲んでみたら、意外とスッキリした生ビールという感じでした。
料理はチキン入りパスタ・プリマベーラ (Pasta Primavera)。パスタはきしめんみたいに平べったいフェットゥッチーネ (fettuccine)。「焼いた地中海野菜に黒オリーブ、新鮮なトマト、トッピングはペストソースとパルメザンチーズ」
これも23ドル(約3,400円)で、相当のお値段。
それにしても、チキンはドデンとのっかっているは、パスタも具もオリーブ油が多すぎてしつこいは、とにかくバジルとオリーブだけで味を付けているだけという感じで、予想していたパスタ・プリマヴェーラとかなり違います。「プリマベーラ」とは「春の」という意味なんですよ。普通はもっと華やかながらもさっぱりしたものを思い浮かべるでしょう?
おまけに、店内で盛んに流れているメレンゲのエルビス・クレスポ (Elvis Crespo) も気に食わない(って余計な話か)。
ところで、以前この国に来た時にも気づいたことですが、コスタリカ人のスペイン語は早口で、フワフワというか、フニャフニャしていて、どことなく都会を気取った風があるのです(首都だけかもしれませんが)。空港内の店の従業員も、愛想が今一つで何となく客を見下した雰囲気を醸し出している。あるいは私がアジア人つまり「チーノ(chino、字義通りには中国人)」だからでしょうか?
国自体は自然が豊富で観光的魅力もあり、治安も比較的良く、文化的にも経済的にも進んでいる印象のあるコスタリカではあるのですが、正直言って、コスタリカ人の印象はどうも良くないのです。
サンサルバドルに行く便のゲート前から眺めた屋外の景色。市の中心方面でしょう、高いビルが林立しています。
とにもかくにも、すべての飛行機・船の便が時間通りに運航したのが、この旅行の中で最もラッキーだったことです。色々と小さなトラブルや不満はありましたが、行程だけは完璧に順調。そして、この一連の記事にてご紹介したように、色々と見聞し、色々な学びがあったわけです。
一言で言って、楽しかった。(本連載、了)