日本でも振り込め詐欺など、電話を使った特殊詐欺が色んな手練手管(てれんてくだ)で行われていますが、当然ケニアにもあります。
一週間ほど前、ついにその「怪しい電話」が私のところにもかかって来ました。覚えている限りで、そのやり取りを報告させていただきます。ただし記憶が曖昧なので、会話や操作の順番は前後している部分があるかもしれません。
男:私は Safaricom(ケニア最大の携帯電話会社)の〇〇という者ですが、あなたは rigmarole さんですね。
私:はい、そうですが。
男:あなたの番号はXXXXX(私の知らない名前)という名の人も所有していることになっており、彼はこの番号が自分のものであると主張しています。彼はあなたのM-PESA(モバイルマネー)から引き出そうとしているかもしれません。あなたを彼から守る必要があります。まず本人確認をさせていただきたいので、次の質問に答えてください。あなたがよくかける人の番号は?
私:それは(他人の)個人情報だから教えられません。
たぶん、次の獲物の情報を聞き出したかったのでしょう。
男:では、M-PESAの残高は?
私:ええーっと、〇〇〇〇シリングです(と答えてしまいました。冷静に考えると、なぜ残高が照合に使われるのか理解に苦しみますが、要するに、彼としては幾らの儲けになりそうか探りたかったのでしょう)。
男:確認できました。では、その人物を削除するために、以下の操作を行ってください。まず、##35......とプッシュしてください。
私がその指示に従って操作すると、「You have deactivated My Data Manager」との Safaricom からのメッセージが届きました。更に指示に従ってプッシュ操作をすると、そのうちPINを要求するメッセージが出て来ます。ここで大いに怪しく思い、私は操作を中断しました。
私:(XXXXXという人物だけでなく、)あなた自身が怪しい。この手の詐欺があるという話を私は聞いていますし。
男:ならば、今から私が Safaricom からメッセージを送るからそれを見てください。
すると Safaricom からの「You have activated...」のメッセージが届きました。しかしこれは後から思うと、男が送ったものではなく、プッシュ操作に伴う自動返答が遅れて来ただけであると思われます。
男:確かに送られていますよね? これで信用していただけたと思います。
私:いえ、信用できません。
男:では、*234.......を押すように。これも、そのXXXXXを削除する操作です。
これも男に従って少し進めると、今度はM-PESAを他の人にも使わせるかのようなメッセージが現れました(が、何かの機能の固有名らしき言葉が含まれていて、私には文の意味がよく分かりませんでした)。私は、キャンセルボタンを押します。
私:やはり怪しい。電話では作業をしたくないので、何か問題があるなら Safaricom ショップにて対面で解決することにします。電話を切りますよ。
男:では、これからオフィスの別の電話番号でかけますから。
私が電話を切ると、すぐに今度は異なった番号からかかっててきます。
私:これも信用できませんよ。電話だから。やはり店頭で解決します。
男:オフィスに来ていただいてもいいですが、一刻も早くXXXXXを排除するために、一旦M-PESAのアカウントを閉じる必要があります。閉じてもいいですか。そうすると、残高も消えてしまいますよ。
私:それは困ります。でも、アカウントはそのままでいいですから、とにかく Safaricom ショップに行かせてください。
男:いや、アカウントを閉じなければなりません。
理由不明な彼の説明です。
私:とにかく私はあなたを信用していませんので、私の機関の安全担当に確認します。確認が取れたら折り返し電話をします。
と言って、私は電話を切りました。そして私の派遣機関の安全担当者に電話で相談すると、「それはまごうことなく詐欺ですね」と。
もちろん、折り返しの電話はせず、そのまま放っておきました。それからは、彼の方からも電話はかかって来ません。
とにかく早口で話すので、何回も聞き返す必要があり、それでも話していることが十分に理解できず、「私にはよく理解できません」と言うと、最初の「XXXXXが自分の番号だと主張しているから、その人を削除する操作を教えているのです」という説明を繰り返すだけで、すぐにそれまでの操作手順を繰り返すだけでした。私がゆっくり話してほしいと言っても、ゆっくり話すのは最初の一文くらいで、またすぐにもとの早い口調になるのです。
そして、プッシュ操作を強く繰り返し訴えるので、電話をなかなか切らせない。結局(切ってもまた3回ほどかけ直してきたので)計4回、断続的に30分くらい話してしまいましたよ。
一週間経った現時点でも、今のところ被害はありません。事なきを得たようです。
最後に、その怪しい2つの電話番号を公開させてください。
+254 202 122 777
+254 202 077 305
(最初の+254はケニアの国番号)
です!!
拙記事に書いてもあまり意味がないでしょうが、公開しないと私の不愉快は治まりません(公開しても治まりませんが)。
2021.12.20追記:本日次の番号からも似た内容の電話が来ました:+254 202 077 301。今度は、最初の質問は「あなたが Safaricom を利用する頻度はどのくらいですか?」でした。私が「あなたを疑う。同じような電話を前に受けたし、この番号はスパムだとの情報もあるから(実はこの番号ではなく上の番号でしたが)」と言ったら、「では Safaricom Care からのメッセージを送るから」と言ったっきり電話が切れ、メッセージも来ませんでした。
2021.12.27追記:例の電話が来て1か月後の今朝、ようやく当の Safaricom からこのようなメッセージが届きました。「詐欺警告! あなたの回線が二重に登録されることは決してありません。そのように言う人は誰も信じないように。すぐに電話を切ってください」
(画像は Safaricom アプリのトップ画面)