里山駄句更に3作 | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

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エルサルバドルに単身赴任中。
気候がいいので日本よりよほど健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意しなければならないのは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

閑人がまた里山ハイキングを材料に駄句を3つほど作りましたので、どうぞ見てやってくださいな。

 

 

 

 

荒 れ 果 つ る 越 路 彩 る 山 鹿 子
(あれはつる こじしいろどる やまがのこ)

 

 

 

蓮花寺の山奥にて6月25日撮影。「小木ノ城跡ハイキング(1)」の記事参照。

 

 

城址へのハイキングルートを開拓しようと思って蓮花寺から脇道を進んだところ、地理院地図には描かれている小径(こみち)は荒れ果てており、最後は完全に遮断されていました。しかしそこに咲く紅色の鮮やかな花が、弱り切った私の目を和ませてくれました。

分類学上はコシジシモツケソウ(越路下野草)という名ですが、「シモツケソウ」では響きがあまり良くない。近縁種にキョウガノコ(京鹿子)という園芸種がありますので、それを意識して勝手に名前を作ってしまいました。これって許される?

 

 

 

 

轍 に て 沈 ま ざ ら な む 黄 釣 舟
(わだちにて しづまざらなむ きつりふね)

 

 

 

越後岩塚の桝形山から沢下条(さわげいじょう)に下りる林道にて6月21日に撮影。「桝形山ハイキング(3)」参照。

 

 

道に迷って行きつ戻りつして、轍の間(はざま)に咲いていたこのキツリフネを3度も見てしまいました。こんな場所に生えていれば、いつ車に押し倒されるか分かりません。それを考えると貴重な株であるように思われるのでした。古語辞典の助けを借りて「沈まないでほしい」という表現を慣れない文語体で書いたつもりですが、合ってますか?

ところで釣舟草は秋の季語らしいですねえ。6月に咲いていたんですけど。

 

(2020.7.9改作。旧作:黄釣舟沈まざらなむ轍ゆえ(きつりふね しづまざらなむ わだちゆえ)。「ゆえ」が説明的過ぎたので。また語順変更)

 

 

 

 

遊 園 の 在 り し 栄 華 ぞ 谷 空 木
(ゆうえんの ありしえいがぞ たにうつぎ)

 

 

 

成願寺の沿道にて5月8日撮影。「八方台ハイキング(2)」参照。

 


八方台からの帰り道で成願寺温泉の遊園地跡を見ると、錆び果てた四阿(あづまや)が。そのすぐ後に見たタニウツギの華やかな淡紅色が往時の賑わいを象徴しているようで、却って侘(わび)しさが募りました。

 

俳句にはパズルを解くような愉しさがありますね。感じたことをより的確に表し、より含蓄のある、より気の利いた字数の合う言葉を探し当てられるか。今日は日帰り温泉(麻生の湯)に浸かりながら、あるいは別の語を探し、あるいは語順を変えたりしてずっと考えていましたよ。更に坐禅をしていても邪念が……。