「人間に何を見る」
神の中で、最近、最高神の作った、おもちゃについての問いが、話題になっている。
「限りない欲望」
と、一人の神は言った。やはり、まだ、人間は、神聖な生き物としては、認められていないようだ。
「不確かな、探求者であることは間違いないな。盲目ゆえのことか?」
他の神は言った。何に対しても、肯定的なものはいる。それを、優しい、と言うのかは、それぞれの勝手だ。
「本当に、盲目だろうか? あれは、我々の分子からできたものだろ? 根本は、すべてを理解しての生き物じゃないのか?」
初め、質問をした、神は言った。彼は、何者からも、何かを学ぼうとする。謙虚とは、神にも普通にある姿勢だ。神だから、傲慢である必要はない。
「足掻きに、足搔いて、自分らの価値を証明してみせたら、認めてやってもいい。しかし、最高神も、面白いことを考えたものだ」
何でも、感動が欲しかった、という話だ、と、そこで盛り上がった。
それは、貰えたのか? と誰かが言った。
「人間風情に感動させられる、って言うのも、また、何か、バカらしいからな」
と、一人が答える。それもそうだ、と笑っている。
「それでも、通そうとするものは、通そうとするものさ」
と、肯定的なものが言った。健気、認めてやっても悪くない、とも思うものもいる。
「人は、また争っている。人自身の世界さえ、愛せていないのじゃないか?」
誰かが言った。簡単なことを複雑にするのは、盲目者の特権だ、という話になる。
「すべては、わざとできている、じゃないのか?」
と誰かが言った。総じて、仕組まれた話で、仕組まれた人間が、仕組まれた原理で、動いている。
「不確実性、を仕込んだのだろう? じゃなきゃ、見ていて、面白くないからな」
と言う。
「・とーか?」
と、誰かが、相づちのように言う。生きているって、ああ、不思議、ああ、不思議。って、言っているんじゃないか?
ドアがノックされて、執事の人が顔を出した。要件が終わりました、とのことだ。それで、タイシと、アンキは、奥の部屋に通される。とても永い、回廊だった。突き当りに、部屋はある。
執事の方が、ノックして、市長を呼ぶ、
「通してください」
と、割り、と若い声がした。あまり、タイシともそう年齢差がないみたいな感じだ。
二人は、ドアの向こうに入った。
そこには一人、コーヒーを飲みながら、窓の外を見ていた、市長がいた。
「いや、これは、わざわざ、お越しいただきまして、太子殿。何か、意見がおあり、とのことでしたが?」
と話す。コーヒーを置き、席を移動し、前の向かい合った、ソファーに座る。タイシたちも、倣って、前の席に立つ。
「ああ、おかけください」
その言葉で、二人は、座った。みたところ、やはり、かなり、年若の市長のようだ。特別、第三皇子だから、と言って、緊張したところも見受けられない。その考えは、タイシとしては好感を持つ対応のしかただった。
「それで、話し、とは?」
そう、用件を聞きに来た。アンキも、何を言うのだろう、と思う。
「善政、とは何か? いや、色々、各地、巡っていると、その土地にいる賢人、権力者に、考えを聞いて回りたくなるものでしてね?」
と話した。ここは、この街の政治をしきる、最大の中心地、だ。
「難しい問いですね。いきなり言われて、すぐ答えられるものではない。けれど、市民の気持ちを最大に組むこと、なんてことは言いません。私の思うままに、街を作り上げていくことだ、と変わりに言っておきます」
意外な返答だな、とアンキは思った。その物腰の柔らかさ、から、また、相手が、皇子であることから、そうは、答えないだろう、と思っていたのだ。
続きます。
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