「そうね・・・私たちだけなら、きっと静かな世界になるのでしょうね」
未来は空を見ながらそう言った。
でも、何故だろうか。
未来はどこか悲しそうな顔をしている。
「どうした?」
心配になって、俺は未来に声をかけた。
「ううん、何でもないよ」
そう言うと、彼女はまた微笑んだ。
俺は立ち止まり、彼女の右手を握る。
「智也・・・・?」
未来は不思議そうな声で呟いた。
でも、俺は何も答えずに、ただ黙って彼女の右手を握る。
優しく、それでも確実に握る。
「どうかした?」
彼女は微笑みながら言った。
「いや、何かあれば、ちゃんと言うんだぞ?」
俺はそう言いながら彼女の右手を離した。
そしてまた、俺は歩き出した。
その後に未来も続いて。
「今日は、雨が降りそうだね」
空を見上げる、たしかにさっきよりは曇っていた。
「ホントだ、早く帰った方がよさそうだな」
俺は未来の右手をもう一度握り、ゆっくりと走りだした。
もう旧都市の村をかなり進んでいる。
あたりは古い建物だらけ。
なのに、俺たちはまだ誰とも通り過ぎていない。
たまに思ってしまう。
この旧都市は、この村は、死んでいるのではないかと。
一か月に二人に会うか会わないかだ。
/続く