蒸鰈 実践編 | 鉄の日記

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てけとー

みなさま、こんばんはございます。
今回のお題は、「蒸鰈」であります。蒸鰈の歳時記的な考察は、先日の記事(アメンバ限定)で行いました。大した考察がなくて、すみませんことです。
蒸鰈と干鰈の違いが、今回の句作では、重要なのかと思います。歳時記的な記載では、
 干鰈→「内臓を抜いて、天日で干す」
 蒸鰈→「塩水(海水)でさっと蒸し、陰干しにする」
という、工程の違いが記されています。しかしながら、味を比べて記載してある歳時記はありませんでした。

これはもう、食べてみなければ、わからないですよね。干鰈は、近くのスーパーマーケットでも売っていましたが、蒸鰈はお取り寄せするしか、入手方法がありませんでした。蒸鰈自体は、スーパーの干鰈とさほど違わぬ価格で売っていましたが、なにしろ送料がかかるのです・・・。高い鰈になっちゃいました。
買ったのは、コチラ。つきぢ尾粂という干物屋さんの、通販です。島根産の鰈だそうです。
https://tkjm.jp/himono/4255/




写真の上段が、干鰈(近所のスーパー産)。下段の二枚が、蒸鰈(通販)です。

 

 

 



並べて置いてみると、なぜか蒸鰈が猫に人気でした。

 




蒸鰈は、「炙って食べる」とのことで、アルミホイルを敷いたフライパンで、表面が軽くきつね色になる程度加熱しました。手前の一枚が、ひっくり返したところ。説明書きによると、腹7割背中3割の加熱が良いとか。

 

 

 


一方、干鰈は魚焼グリルで焼きました。これも「さっと炙る」程度で良いとのことです。
蒸鰈は、焼いているときに、妻が「スルメを焼くニオイに似ている」と言っていました。
現物を目の前にしていたときに、忘れないようにメモを残しておきました。その記述を、ボールドで付記します。

蒸し鰈は意外と香ばしい
淡い茶色
意外と肉厚に見える
スルメのような匂い
肉はみずみずしい
干鰈は色が濃い



焼いたあとでも、蒸鰈は猫に人気。




蒸鰈近影、であります。普通お魚は、頭を左にしますが、鰈はどうなんでしょうね? おなかを手前に置くというお作法では、頭が右になってしまいます。

 




干鰈(上)と蒸鰈(下)です。だいぶ見た目がちがいますね。干鰈は天日干ししただけに、日焼けして(←ウソ)黒っぽいです。蒸鰈は陰干しなので、日陰者の色白(←ウソ)です。干鰈は、水分が少ないのでしょうか、身が波打っています。蒸鰈は、平らです。

蒸鰈は腹が膨らんでいる
干鰈は背中がそっている

干鰈は、干物の匂い。
蒸鰈は、意外と香ばしい。想像とは逆。





ほぐしてみます。蒸鰈は、身離れが良い、と歳時記に記載があるとおり、きれいに身が骨から離れます。


蒸鰈は、身離れが良い。
自然で軽い塩味、いや潮味か。思ったより、塩っぱくない。海の自然な塩分を感じる。





干鰈のほうは、水原秋櫻子先生の記述によると、「やはり火に炙って食うのだが、肉の骨離れは蒸鰈ほど容易ではない」なのですが・・・・。あれ? 同じくらい、身離れが良いです。食べやすいです。


干鰈も、実は身離れが良い。塩味は薄い。
身は干鰈の方がジューシーかも



個人的に、干鰈と蒸鰈の最大の違いは、卵巣に有ると思います。食感・風味ともに、全くの別物です。

まずこちらが、干鰈の卵巣。色が白っぽいので、身と区別が付き難いです。青い矢印で囲った範囲が、卵巣になります。食べ方が汚くて、すみません。そういわれると、身が皮や骨に残りがちかも・・・。

干しがれいの卵巣はしょっぱい
焼きたらこ風





蒸鰈の卵巣は、眼にも鮮やかな朱色です。矢印で囲わなくても、わかると思います。

蒸鰈の卵巣はあまりしょっぱくない 
ねっとりしている。
カラスミっぽい





干鰈(上)と蒸鰈(下)の卵巣を、並べたところ。違いがわかると思います。






それぞれの卵巣の、端っこをほぐしてみました。
干鰈の卵巣は、「焼きたらこ風」であり、蒸鰈の卵巣は、「カラスミ風」ですね。


いずれも、成分は一緒なのだと思いますが、食感・風味としては蒸鰈のほうが美味しい。痛風をおこしそうなウマさであります。



総括
干鰈は、ジューシーな干物味
蒸鰈は、海の味