薄暗い部屋に、丸まった背中が見えた。
手にタブレットを持っているようで、その光がぼんやりと髪を照らしている。
「目が悪くなるぞ」
俺は静かに近付いて、その手からタブレットを取り上げた。
「スヒョン兄」
首だけで振り返り、キソプは俺を見上げた。
黒い大きな瞳が潤んでいる。
「泣いてたのか?」
キソプはすぐに俯いて、鼻をすする。
「泣いてないよ」
バレバレな嘘に、俺は溜め息をついた。
「何かあったのか」
訪ねながら、スリープにしようとしたタブレットの画面が目に入った。
突き刺さるような言葉。
痛烈な、痛切な叫び。
「これ、もう読むな」
画面を消すと、キソプの手が奪い返しに伸ばされる。
「ダメだよ、見なきゃ」
その手からタブレットを遠ざけ、俺はキソプの肩に手を置く。
「ダメ。兄さんの言うことを聞きなさい」
顔を覗き込めば、その目は再び伏せられる。
「ちゃんと受け止めないと」
唇を噛んで、震える声で言う。
「受け止められる状況じゃないだろ」
「でも」
肩を抱き寄せて、視線を合わせる。
「暗い顔より、笑顔を見せろよ」
もう一度鼻をすすって、キソプはぎこちなく笑う。
「分かった」
その目には涙が浮かんでいて、大きな目を一層大きく見せた。
俺はこつり額をぶつけ、笑顔を作る。
ふ、と息を漏らしたキソプは、さっきよりも自然な笑みを浮かべていた。