鞄の中でスマートフォンの画面が光っていた。
着信の時間を確認して、俺は画面をタップした。
『……もしもし』
「もしもし、イライ?」
『聞いた?』
電話の向こうの声は、あからさまに暗かった。
「聞いたよ。おめでとう」
『ありがとう』
同い年のイライが父親になるなんて、なんだか妙な感じだった。
もちろん、友達にいないわけではないけど。
俺と同じような生活をしていたはずのイライが。
「楽しみだな」
『ああ』
「プレゼント贈るよ、ベビー・シャワーまでに」
努めて明るく言えば、イライの声も少しだけ明るくなる。
『ありがとう』
俺の心も少し明るくなって、軽口を叩く。
「スヒョン兄が悔しがってるだろ、結婚も子供も先越されて」
『ん、まあね』
本当は、スヒョン兄はどう思ったんだだろう。
本当なら、心から喜んで、きっと羨ましがれたのに。
「仕事、頑張れよな」
家族のためにも、メンバーのためにも。
ファンのために、と俺が言うことはできないが。
『もちろん』
力強く答える声が心地よい。
「楽しみだな」
俺がもう一度言うと、電話の向こうで笑う気配がした。
やっと屈託のないイライが戻った気がして、俺もつられて笑った。