電話を切ったジュンは、少し怖い顔をしていた。
「ジュン、どうした?」
ちらりと俺を見て、すぐに顔を伏せる。
「なんでもないです」
溜め息をついたのを、俺は見逃さなかった。
いつもは可愛い末っ子でいるが、悩みはきっと尽きない。
年齢的にも、環境的にも。
「言いたくないならいいけど」
俺は背が高いジュンの肩を抱いてやる。
うなだれたまま、ジュンは小さく言った。
「ヒョンは」
「うん?」
顔を覗き込むと、痛々しげに唇を噛んでいる。
「トンセンを怒鳴ったりしますか」
意外な問いに、俺は目を丸くする。
「しょっちゅうお前達のこと叱ってるだろ」
そう言ったら、やっとジュンは俺を見た。
「僕達じゃなくて、妹さんのことは」
「そういうこと」
腑に落ちた俺は、思わず頬を緩ませた。
「笑わないで」
真剣な声に、俺はさらに笑顔になって答える。
「笑ってるわけじゃない」
再び目をそらしたジュンに言う。
「あったよ。大丈夫、ちゃんと伝わるから」
くしゃくしゃと髪を撫でて、もう一度顔を覗く。
「ね?」
ジュンはまだ目を合わせてくれない。
「はい」
「じゃあ、笑って」
そう言うと、ジュンは大きく頷いた。
それからやっと俺を見て、可愛い末っ子に戻って笑った。
「はい」
「よくできました」
俺が腕を解くと、今度はジュンの手が俺の裾を引いた。
「スヒョン兄」
「ん?」
まっすぐに、さっきよりも穏やかな笑顔で俺を見る。
「ありがとう」
俺が答える前に、ジュンの唇が頬に降ってきた。