Soovinのシン←ユル。
去年の焼き直しだけど。
***
横断歩道にたつ僕の前に、黒い車が止まった。
後部座席のドアが開いて、大好きな声が僕を呼ぶ。
「義誠君」
「シナ?」
中をうかがうと、シンは奥に身体を引いた。
「乗ってけよ」
僕は少し驚いた振りをして、でも笑顔で答える。
「ありがとう」
隣に乗り込むと、車はまた静かに走り出す。
「公務だったの? お疲れさま」
「ああ。お前は?」
「例のチャリティーイベントの準備」
近くにいるとチェギョンは中々に魅力的で、周りに人が集まるのが分かる。
シンが惹かれるのも、悔しいけれど分かる。
「一人で?」
「遅くなると思ったから、先に帰ってもらったんだ」
無表情に見えるその顔に、僕の胸はキリ、と痛んだ。
こんな時だって、考えるのは彼女のこと。
僕が、こうして横にいるのに。
「シンも来れたらいいのにね」
そう言った気持ちは、半分だけ本当。
たとえチェギョンがいても、シンといられるなら嬉しい。
でも、半分は嘘。
二人が一緒にいるのを見るなんて、耐えられないかもしれない。
「忙しいんだよ。お前と違って」
「そうだね」
僕は困ったような笑みを作って、ちらりとシンを見る。
その横顔に触れたくなるけど、実行するわけにはいかない。
公務が終わるころを見計らって帰り、予想した通りにシンに捕まえて貰えただけで満足しなくちゃ。
僕はあくびしながら、シンの肩によりかかった。
帰り着くまで十数分。
眠ってしまうのは惜しいけど、イベントが近付くにつれて準備の疲れはたまっていた。
シンの疲れはこんなものじゃないだろうな、と思いながら瞼を閉じる。
薄れ始めた意識の中で、シンの体重がかけかえされるのを感じて、僕は安らかに夢に落ちた。