「気をつけて帰れよ」
AJは僕の肩を叩いて、ふと眉を寄せた。
「いや、行く、のか」
僕は首を振って答える。
「ううん、帰るであってる」
アメリカにも、久しぶりに戻ったけど。
「U-KISSは韓国に帰るよ」
一人だけ、この国に残して。
「気をつけて」
今度は頷く。
「うん。ジェソプも大学がんばって」
照れくさそうに、けれど得意気な笑顔になる。
「もちろん」
つられて笑って、僕も軽口を叩く。
「惚れ直させてよね」
まあ、彼女くらいつくっても許すけど。
「覚悟しとけ」
覚悟はもうしてる。
AJに関しては、何が起こっても驚かない。
だって。
この気持ち以上に予想外だったことなんてないから。
「待ってるから。ジェソプが韓国に帰ってくるの」
真面目な顔をしてそう言えば、真剣な視線でしっかりと首を縦に振った。
「ファイティン」
人がたくさんいたので、さすがにキスをするわけにはいかなくて。
「ファイティン」
代わりに僕らは、自分の拳に唇をつけて。
その拳を合わせた。