「最近のインタビューとか、教えてもらって一通り読んだんだけど」
突然振り向いて、AJが言った。
「なんで'僕のドンホ'なの?」
「そんなこと言ったっけ?」
聞き返した僕を、AJは抱きしめる。
「言ってた。ウェブのインタビュー記事で」
AJは冗談を言うときもあまり声が変わらなくて、だから僕はよく騙されるんだけど。
機嫌が悪いのか、茶化してるだけのか。
やっぱりよく分からない。
「だって、うちのドンホだし」
「うん、たぶんそういう意味だったと思うんだけど」
なんだ、通じてるんじゃん。
「気をつけてよ。'僕の'と'僕たちの'じゃ、全然意味が違うんだから」
「分かった」
肩越しに振り返ると、AJは以外にも寂し気な顔で。
僕の肩に顔を埋めた。
「俺の時は言い直してたのに」
「ジェソプのとき?」
「何かの動画で」
ああ、それもあったかもしれない。
僕のAJ、と言って、メンバーに突っ込まれて。
ファンと僕たちの、と言い直したんだ。
ドンホのときは。
いつだったのか、まだ思い出せないけど。
「ドンホに妬いてるの?」
かわいい弟に。
僕たちのドンホに。
嫉妬深いのは分かってたつもりだけど、メンバーにも?
「この前、言ったばっかりだからさ」
この前。
僕はずっとAJのものだと言った。
そして、AJは僕のものだとも言った。
でもインタビューは、「この前」のずっと前にされているのに。
個人的な発言でもないのに。
「ジェソプらしいけど」
僕の言葉に、AJが顔をあげる。
「安心してよね」
僕たちのAJ。
でも。
僕だけのAJ。
「僕のジェソプ」
僕はAJに寄りかかる。
「聞きたいなら、何度だって言うよ」
身体が倒れて、二人して横になる。
「ジェソプは僕のもの、僕はジェソプのもの」
呪文を唱えるように、子供に言い含めるように。
AJは身体を起こして、僕を見下ろす。
部屋の明かりを背にして、その表情は見えない。
AJは僕の頬を撫で、僕は落ちてきたキスを受けた。