「スヒョン兄が学生服着たらタイムリーだよね」
用意された衣装のリストを眺めながら、キソプが笑った。
「これ、不良のスタイルなんだって」
上着の丈は、スヒョン兄がアイコンで着ているものよりかなり短くなっている。
もちろんあらかじめそう仕立てられたものだが、きっと本当の学生はどうにか自分で加工するのだろう。
「丈が長いのもあるんだってさ」
「スヒョン兄にはそっちのが合うかもね」
「そうかな。ケビンとドンホはこれ似合ってたけど」
俺はリストの写真を覗きこむ。
「あの二人だから」
「どういうこと?」
腰の位置を高く、上半身を小さくして、下半身はたっぷり膨らませて。
ヨーロッパのドレスみたいに。
「シルエットが女性的じゃない?」
「うーん。ケビンとドンホだからそう感じるんじゃなくて?」
うーん、と答えて、考える。
女装させたら似合う二人だけど、ちょっと違うような。
なんとなく、幼いというか、可愛いというか。
「不良」は若いうちにするものだからか。
腰の細さが強調されるからか。
「あ」
そこまで考えて、思いつく。
何かに似てると思ったら、韓服だ。
切り替え部分で絞りはしないが、上を小さく、下を大きく。
「キソプも短いほうが似合いそうだね」
「なんで?」
丈が長いのは、スヒョン兄やAJみたいな中身の人の方が似合う気がする。
「なんとなく」
キソプは不思議そうな顔のまま、俺を見る。
自分でもうまく説明できると思えなくて、俺はキソプを抱きしめてごまかした。