ギターアンプのトラブルシューティング (ヒューズ編) | ぐりのあなぐら

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環境に優しいをポリシー(口実)に再利用した部品は2年以内に必ず煙を上げる(戒め)
部品を1円レベルでケチった挙句、結果的に買いなおして物流に多大な負担を掛ける糞野郎
最近はギター離れが深刻化、オーディオ病が再発
なんだかんだ音響から離れられない中の人です

 

免許更新期限まで1ヶ月を切り、今更になって焦り始めた中の人です。

初回更新なもんでエラい遠い免許センターまで足を運ばないといけません。

え?違反したって素直に言えって?

まさかまさか。安全運転主義ですからそんなことはありません。

 

腰の調子は横ばい、といったところですが

なにもしないのもあれなので、チビチビとブログを書いてみようかと。

本日はなんだかんだで書いていなかったアンプのトラブルシューティングです。

不要な出費を出さないために、少しでもオーナーさん側でアンプへの理解を深めるためにも

今回は意外と詳しく書いて有りそうで書かれていないトラブルシューティングについて

お話しようと思います。

 

そんなわけで今回はヒューズです。

ヒューズは電子機器を過電流から保護する役目を担っています。

規格値を超えるとガラススリーブ内部の「エレメント」という溶断線が溶融し、電流を遮断します

そうなればうんともすんとも言わなくなります。(当然ですね)

 

さてそんなヒューズですが、意外にも破損時にダイイングメッセージを残しています。

それに見向きもせず新しいのをいれている方は機械を酷使する人間ですね。

 

 

・ヒューズの切れ方1

 

音が出なくなった!でもヒューズを確認してもなんともない・・・でもよく見てあげて下さい。

よーく見るとガラススリーブ内に糸が切れる如く横たわっているエレメントがあるはずです

 

 

このような切れ方は時々あり、短期的に大電流が流れ

ヒューズが赤熱状態に陥りついには切れてしまったときによくある切れ方です。

このままだと分かりにくいので簡単に説明すると

常に許容値の電流量ギリギリが流れていることです。

単純に出力管のバイアスが狂っていて、過剰に電流が流れている事もあれば

アンプ内部の部品が劣化し電流が過剰に漏れ始めていることもあります。

ベストな選択はバイアス調整ができる方はバイアスを点検。

出来ない方はいずれにせよ修理をやめて修理店に出して下さい。

下手に使い続けると真空管などが痛み、出費が増大してしまいます。

 

(現行の出力管はパワーを欲張り、電流が流れやすい個体が多いです

 近年の自己バイアス方式をよく採用するロー・ミドルワッタークラスは

 かなりアイドリングを上げているため下手に挿し替えると、真空管だけではなく

 トランスや電源部の部品を痛めることにもつながります。特に高級機種。)

 

 

・ヒューズの切れ方2

 

こいつぁひどい!ってくらいはっきりと分かる切れ方です。

 

 

エレメントが蒸発し、灰化したものがガラススリーブに付着して煤けています。

この状態になったら危険です!再投入はやめて修理店に持ち込まれて下さい。

内部でショート状態になっている証拠です。

 

ただし、まれに真空管が悪さをしている可能性があります。

アンプや内部の真空管を動かした際に、真空管の内部電極が接触し

ショート状態に陥るということがあります。

もし、「つい最近まで元気だったのに・・・」「家に帰ってきたらいきなりヒューズが切れた・・・」

となれば一回だけ全ての真空管を外して、ヒューズを入れ直し

スタンバイを入れた状態でパワーを入れてみて下さい。

それでヒューズが切れなければ真空管が悪さしている可能性が高いです。

※異臭やシャーシ内部に異常・焼損が見られる場合はやめて下さい。

 

こういったこともレアケースですがあります。

そのために常にスペアの真空管を用意しておくのがベストです。

その他真空管の劣化を差し替えで確認することも出来ますから(ゲイン・出力不足等)

 

それで解決したとしてもそのまま使用し続けず、バイアス調整に持ち込んであげて下さい。

先述したとおり、近年の真空管は電流が流れやすいものが多いためです。

もしその他に異常があってもその場で対応して頂けるはずです。

 

 

・ヒューズの切れ方3

 

これは・・・・・・切れてませんね。

 

 

切れかけです。

これもまたヒューズに大電流が流れており、何かしらの部品が劣化し始めたり、

真空管が電流をどか食いして、エレメントが発熱し自重で変形してしまったということです。

こちらは長期的にエレメントにストレスが掛かり、伸びてしまうことが多いため

時折チェックすると伸びていたりします。

その時は出来る限りバイアスのチェックやアンプ内部のチェックをしてもらいましょう。

オーバーホールできる費用があればOHしてあげるのも手です。

 

 

 

ヒューズが切れる場所によっても事の重大さが分かります。

フェンダー系のアンプのようにヒューズが一本だけのものと

マーシャル系のアンプのようにヒューズが二本セットされているものがあります。

それについても少々お話いたします

 

・ヒューズ一本型

 

 

基本的に一本だけのタイプはメインヒューズといい、100Vラインに存在します

このタイプはアンプ内部の消費電力(電流)が増大したときに、

関節的に影響されメインヒューズが溶断します。

ですが、これでは遅いのです。

よっぽどな過電流が発生しない限りはなかなか切れてくれないのです。

そのためヒューズ一本型は動作していても危険な状態であったりすることが多々あります。

出来る限り定期的なメンテ、OHを施してあげて下さい。

気づいたときにはトランスが焼き付いていたなーんてことも十分にありえる方式なんです。

 

・ヒューズ二本型

 

 

一本型と同様メインヒューズに、+B/H.Tヒューズと言うものがついたものになります。

+B/H.Tヒューズと言うものは高圧回路の保護回路で

危険な高圧回路で問題が発生した場合、即座に電源と分断してくれます。

+B/H.Tヒューズが切れるときは真空管の内部破損、部品の劣化などが上げられますので

そのまま修理店に持ち込んであげて下さい。

ただし二本型でのメインヒューズは”よっぽどのこと”がない限り溶断しません。

その”よっぽどのこと”というのは、恐怖の電源トランス焼付きか100Vラインのショートです。

はい。下手すれば本当に火事になります。

 

・ヒューズの種類

 

ヒューズにもいろいろな種類があります。

そして、アンプの回路方式により相性の悪いヒューズも存在します。

 

 

左のねじねじしたエレメントと、右の単線エレメントがわかりますかね?

左のエレメントはスローブロー型といい、

電源投入時等の瞬間的な大電流でも発熱を抑え瞬間的な溶断を防止します

右のエレメントはノーマルブロー型で

電源投入時の瞬間的な大電流に耐えられないこともしばしばあります。

本来突入電流はヒューズにかからないよう設計するものですが、

ときどーき電源設計の下手なアンプがあり、そういったものではノーマルブローだと

即断してしまうことがあります。

まあ、最初からスローブローを使えばいいのですが、

なーんか精神衛生的になにかよろしくないですよね。

そんなわけで基本的にはスローブロー型のヒューズを使って下さい。

 

さて、今回はヒューズに関しての知識を幾つかご紹介しました。

トラブルシューティングって言いながらほとんど病院送りじゃないか!!!

という方がいると思いますが、これって重要です。

何かしらの部品が壊れてはその他の部品に負担を掛け、

そのストレスが破損を誘発させてしまうのです。

 

簡単な話、

一度焼き付いたエンジンが乗った車なんて、動いたとしても買いたくないですよね?

そういうことです。

 

そうなる前にちゃんと治してあげれば、いつだって新品のような状態なんですよ?

 

そう、事故車にはなりません。