配線材について その1 | ぐりのあなぐら

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最近はギター離れが深刻化、オーディオ病が再発
なんだかんだ音響から離れられない中の人です

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かなりご無沙汰になりました。

最近はまったくもって、音楽に興味をなくしてしまった村長です。


趣味もなく、やりたいこともないので毎日を退屈に過ごしている次第にございます


それでも機材に関しては書き残していきたいなぁと。

そういうわけで本日は「配線材」についてです。

(少々カチンと来ることが書いてあるので、頭にきた方は戻るを押していただいてタバコでも吸ってきてください。)


配線材と言っても、大きく分けると二種類に分かれます。

それは「単線」か「撚り線」かです。

この程度でしたら、かじった人なら分かると思います。


単線というものは、文字通り、芯線が一本でそこに絶縁被膜が捲いてあるモノを指します。

単線のメリットとしては、硬いので癖がつきやすく直角に曲げたりすることが可能になります。

撚り線と比較しますと、断面積が大きいため導体抵抗値が低くすることができるというメリットを持っています。


逆にデメリットとしては、被膜を剥がす際に芯線に傷をつけてしまい、振動などから金属疲労で切れてしまうというトラブルの種も持っています。

さらには芯線にぴっちりと絶縁被膜がついているので、熱伝導率が高いため、

安価なビニール被膜ですと、すぐに溶けて芯線がむき出しになってしまったりします。

それ以外にも表面積が小さいので(撚り線に比べ)表皮効果※1が小さくなってしまうことがデメリットとしてあげられます。


お次は撚り線です。

撚り線は一般的によくつかわれる、細い単線がいくつか撚られた線材になります。

メリットとしては、しなやかさがあるので取り回しがしやすいというのが一番に上がります。

単線で問題になった金属疲労からのトラブルも複数本束ねてあるので回避できます。

先ほども上げたように、こちらは表面積が大きいため表皮効果が非常に良いです。

デメリットとしては、古い線材ですと酸化が進み、軽く紙やすりで落とした程度ではハンダが浸み込みにくい等の問題もあります。

さらには単線に比べ、内部の隙間が発生するので必然的に断面積が小さくなります。(ワイヤーゲージにもよりますが、大きい差があっても1割に満たないです。)


表皮効果※1 高周波信号は線材の表面部分を通る特性があり、通常の導体特性より抵抗値が大きくなる現象のことを指します。(といってもオーディオ等は低周波回路になるので殆どと言っていいほど無関係。)


お次は芯線の材質に関してです。

一般的に使用されている、芯線は銅を主体としたものになります。

これは価格的にも、導体特性としても非常にバランスが良いものだからです。


一部で崇拝されている「銀線」についてですが、

こちらは銅に比べ、6%程導体抵抗値が低いです。

ギターや、真空管回路ではハイインピーダンスな回路になっていますので、

線材自体の消費エネルギーは小さく、無視できるレベルと考えられます。

あとは柔らかさと、ハンダの浸み込みやすさは逸品です。

銀に関しては、業務用音響機器などのロータリー接点や噛まし接点では大いに使われます。

難点として酸化がありますが、上記の使用法では酸化した部分が削られ、密着することができるので非常に特性や信頼性の高いモノです。


お次は「金」です。

銅に比較して3割近い導体抵抗値の高いゴミです。

金のメリットととしては酸化することがないので、リレーなどの軽く触れる接点では信頼性の高い金属です。

金接点の部品は基本的に微小電圧信号用、高信頼性と考えていただいてかまいません。

やれ、金にしたら音が煌びやかになっただの言ってる人はまず耳掃除から始めましょう。


お次は「プラチナ」です。

銅に比べ6倍以上導体抵抗値の高い金属です。

最近はスピーカーケーブルなどに使うお方が居られる様ですが、私目のような庶民には真似ができません。

売り払って奥様にご奉仕なさったほうが良いと思いますが。


番外として「銀メッキ」を上げましょうか。

軍用規格品、高信頼部品の中には銀メッキ線なるものがあります。

細い線では1割近い導体抵抗値の改善が見られますが、一般用途のサイズ(20AWG付近)では然程改善が見られません。

それでも高周波信号では表皮効果の恩恵が受けられますし、何よりハンダの浸み込みやすさが半端ないです。

レコードプレイヤーなどのカートリッジなどは低インピーダンスなので変えてみると理論的には改善がある可能性があります。



最後に。

私が愛用する配線材はMIL規格品の「銀メッキテフロン被膜」です。

なんといってもテフロンの耐熱性は尋常じゃないですし、銀メッキなのでハンダも楽ちん。

私の様なヘタクソでもきれいにハンダをつけられるというメリットを持っております。


近年では、貴金属崇拝とビンテージ信仰の様な宗教染みた連中がおりますが、

ビンテージ線は不純物が多いため導体抵抗値が高く、

コットン/絹捲きのワイヤーでは非常に被膜を剥くのにコツがいるので、申し訳ないですがかじった程度の方にはお勧めできるものではございません。

私も確かにビンテージワイヤーなどで作ったりしますが、

何を持って使用するかと言えば。

「見た目。」

ただそれだけですね。

見た目以外には特にメリットのない部品なのでまず使いませんね。


あと、自作派の方には配線材がやたら太い方もおりますが、

太すぎはトラブルの元にもなりますし、まずそんなに電流が流れないのでオーバースペックすぎます。




2部に続く。