往復書簡
~きみへ~
もうすぐ、新しい年を迎えようとしています
きみはあの街を去り、
いまは新しい地へと移り住みました
もう、その街に慣れたのかな?
(まだ、一週間では無理だよね。。。)
きみが地下鉄の車内で、
不安と期待が混在していたように、
ぼくも飛行機という金属の箱の中で、
期待と
そして、
不安を抱いていました
はたして、
きみは僕の前に現れるのだろうか?!
もしかしたら、、、
東京の空を離れ、
過ぎ去ってゆく雲に
想いを馳せながら、
きみのことばかりを考えていました
静かな海原と、
きみの住む街を眼下におさめたとき、
きみの存在を大きく感じたのは
気のせいばかりではなかったのかもしれません
空港に降り立ったものの
待ち合わせ場所に
きみの姿を
みつけだすことが出来なかったとき
正直がく然としました(笑)
メール、
そして、
携帯から聞こえるきみの声
空港の外に走りだし、
行き交う人混みから
きみらしきの姿をようやく見つけたとき、
安堵感とともに、
心臓の高鳴りもいつしか
ピークを超えていました
はじめて逢うきみは
写真のなかのきみ以上に
チャーミングで、
そして、
とても綺麗で
素敵な女性でした
(僕の心臓の高鳴りに拍車をかけた原因です)
細い身体に、
栗色の髪を肩まで長く伸ばしたきみは、
肌が透き通るほどに
白い女性(ひと)だった
『はじめまして、、、やっと逢えたね!』
自分の口元からこぼれた言葉は、
なんて平凡なものだったのでしょう
地下鉄に乗り、
きみの住む街にたどりつき、
行くあてもなく、
寄り添って歩きはじめましたね
大きな交差点で、
ぼくがきみに右手を差し出したとき、
きみは
きょとんとした顔をしていました
手を取り合うことを理解したとき、
きみはちょっぴり、
はにかんでいた
でも、
きみは
そっと僕の手を握りしめてくれましたね
ピアノを弾くというきみの手は
意外に小さく、
ほっそりとしていました
11月にしては日射しが眩しく
汗ばむほどの街並を
肩を寄せ逢い、
いつまでも歩きました
お腹がすいた僕は、
きみをランチに誘ったけれど、
きみは胸がいっぱいと
珈琲だけを飲んでいました
『あなたとこうして一緒にいられるだけで、、、胸がいっぱいなの』
きみのかぼそげな声に、
『、、、僕もだよ。』
と、答えながら
ガツガツとランチを取ってしまった僕を許してほしい(笑)
だって、機内でランチが出なかったから、、、
そのあと、国内便はだいぶ前からランチは出ないのよ、ときみに教えてもらいましたね、、、(笑)
・
・
・
話し足りないままに
約束の16:00
あと、
15分で別れなければならないというのに
ぼくはもう一度、
きみをカフェに誘いました
実は、
珈琲を飲みたかったからではなかった、、、
きみをもういちど、
きみをまっすぐに見つめ、
きみの笑顔、
きみのしぐさを
僕の脳裏に押焼き付けたかったから、、、
砂糖とミルクをたっぷりと入れる僕に、
おとなを強調するように
きみはブラックを静かに飲んでいました
駅のホームに降り立ったとき
別れを惜しむように、
いつまでも静かに見つめ合いました
そして、
どちらともなくお互いの顔を近づけ
僕は
やわらかなきみのくちびると
そして、
きみの甘い髪の香りをかいでいました
飛行機の窓から
白い街灯が点った街並に、
無理なことはわかっていても
きみを探し、
きみを感じていました
そして、
いまきみは
「ふたりの思い出」の街を離れました
「思い出」は
たしかに過去のことだけれど、
その「思い出」を大切に
僕はいま
この東京という大都会で生きています
きみと再会できることを夢見て、、、
そして、
