文化勲章三代の系譜上村松園•松篁•淳之展 | 地唄舞 吉村ゆかり 粋・はんなり日記

文化勲章三代の系譜上村松園•松篁•淳之展






5月の始め、「文化勲章三代の系譜 上村松園•松篁•淳之」展に行って参りました。

上村松園展は過去に何度か鑑賞していますが、何度見てもまた見たいという欲求が湧き上がって来ます。

まず、顔が立体的に描かれ、作品全体にふわ〜っと艶っぽさを被せたようなところが好きな明治、大正期の作品を丹念に鑑賞している中で、

「ああっ!」と思わず声を上げた作品があります。

上村松園「清少納言」。

この作品にはつい先日、大河ドラマ「光る君へ」で強く印象に残った「香炉峰の雪」の場面が描かれていたのです。

簾の絶妙な透け感から僅かに見える雪景色、髪の一筋一筋まで丁寧に描き込まれ、平安美人特有のすっとした目鼻立ち、襲の彩りが溜め息が出る程に美しく描かれた衣裳…どれをとっても素晴らしい作品ですが、大河ドラマを見ていたおかげで、より一層好きな作品になりました。

そして上村松園が亡くなった年に描かれた「若葉」「初夏の夕」ではいつも足が止まります。

どこかの展覧会で病の痛みに耐えながら懸命に描いたということを知り、大切に鑑賞しなければという気持ちになるのです。

この日は着物を着て鑑賞したのですが、ミュージアムショップで美しい女性が私を見て優しく微笑みました。

きっと私の着物姿を褒めてくれたのかな(厚かましくてすみません💦)と思いましたが、言葉ではなくこんな風に気持ちを伝えられるのって素敵だなと思うと同時に私もこのようにできたら人生違っていたのかも…と社交下手な私はしみじみと思ったのでした。