中国でリニアモーターカーの次に早い高鉄“CRH”で上海から蘇州へ!
日本でいう新幹線でずっと乗ってみたかったんだ~♪
蘇州までは約30分で着いちゃう位速いのにたったの480円(一番安い指定席)と日本の新幹線と比べたら格段の安さ!
時刻はこの電光掲示板でチェックするのだが、赤ばっかりで見にくいったらありゃしない。。。
そして、出発する駅はこーんなに広くてオモチャみたい!
蘇州の見どころはかなり広域に点在しているので効率よく日帰りで観光できる上海からのツアーが一般的。
だけど、ツアーだと面白いことハプニングが起こりそうにないので蘇州からローカルバスで観光することにした。
蘇州駅に降り立つと、まず何が何だかよくわからない客引きがワラワラと詰め寄ってくる。
日本語や英語が少し話せる者もいるが、明らかにとんちんかんな覚え方をしている者もいるので聞いてて面白すぎる。
「蘇州、ゼンブミル?ミタイカ?ミルコトガデキル?ミルコトガデキタ?」
とりあえず全部言い方を変えてくるのでなんだか現在形とか過去形の勉強をしている気分だ。
早速バスで蘇州を周ろうと、バス停を目指したがどこがバス停でどのバスに乗れば目的地に着くのか英語が通じないのでさっぱりわけがわからない。
仕方なくウロウロしてると、BUSと書いてあるパネルを持つ現地人親子につかまった。
父親は見るからに胡散臭い顔と怪しい日本語を話し、息子は日本の若いミュージシャン風なルックスで蘇州っぽくないイマドキ感だ。
英語も語彙力はないがとても上手に話す。
親子はまず蘇州から上海に帰る列車のチケットが売り切れるといけないから先に買ったほうが賢いぞ!と仕切りにアドバイスするので先に帰りの切符を買っておいた。
なんだ、親切な親子じゃないか。
そして、ここからが本題。
蘇州の見どころをバスでぐるっと回って1日15元(180円)だという。
広い蘇州を1日周って180円はかなり安いし、イチイチバスを待たなくてよいのでかなり楽だ。
この親子は他にもいろんな観光客に声をかけていて、他の客が待機していた。
女性もたくさんいるし、安全そうだし、なんたって1日180円だ。
世界遺産などの入場料も特別料金で前金だそうだ。
何かあったときの為に領収書をもらい、車のナンバーを写真に収めた。
最終的に50円まけてもらいその親子とはこれでお別れ。
満足げに去って行く親子はまた次の旅行者を探しに駅へと戻っていった。
さて、乗り込んだバスの乗客は全員中国人で外国人は私一人。
みんな不思議そうな顔でこちらを眺めている…
バスの車中には驚いたことに専属ガイドと旅行代理店スタッフらしき人物までいる。
単に移動だけしてくれるバスかと思いきや、完全なるツアーじゃん。
と、早速一番目の観光スポットに到着した。
出ました!世界遺産!
そう、蘇州は世界遺産の宝庫で東洋のベニスと言われる見どころ満載の街なのだ。
素敵や~ん!
上海のバブリーで煌びやかな街並みとは打って変わって、私の大好きな昔ながらの中国の趣を残した古都、とってもいいかんじである。
おまけに伝統的な中国楽器の演奏と生歌鑑賞つき!
180円ー50円でこんな豪華な特典がついてるバスなんて、めちゃくちゃいいじゃないか!
何を言ってるのかさっぱりわからないがガイドが歴史を説明してくれて写真まで撮ってくれる。
私は満喫しまくった。
こんな木々を切り取ったような道をバスはどんどん進んでいく。
ランチタイムになると、バスと提携しているであろう食堂にストップ。
上海のローカル食堂をものすごくマズくしたかんじのお味なのに値段は上海の7倍価格。(といっても700円)
美味しくないくせに完全にぼったくり食堂である。
まあ、激安ツアーの裏にはこういう理由が潜んでるのは当たり前なわけで…まぁいっか。
その後も船に4回も乗船して水上から蘇州の街並みを眺めてうっとり~♪
イタリアのベニスさながら、ここ中国・蘇州でも船を漕ぐおばちゃんが生歌を披露してくれるというサービス付き!
気持ちよい~♪
風情ありますな~!
そして見どころもサクサク周れてなんて楽ちんなの~
ここに座ると良いことが起きるらしくみんなここで写真撮ってました~。
絶景かな絶景かな♪
バスの乗客は一人だけ外国から来た私を本当に可愛がってくれて、フルーツを道で買っては私にくれた。
言葉がお互いに全く通じないのでジェスチャーだけでコミュニケーション。
フルーツをもらいシェイシェイとお礼を言うだけでバス中が「うぇーい!」とお祭り騒ぎ。
そして、フルーツはどんどん増えていく。
しかし、この頂いたフルーツがお世辞にも美味しいとは言えない味だった。
青梅という名で売られている梅なのだがよせばいいものを得体のしれない謎のシロップが大量にかかっており、梅そのものの味を台無しにしている。
みんながせっかく好意でくれた梅を食べないなんてそんな失礼なことできるわけないだろう。笑顔でパクリだ。
すると、また「うぇーい!」と喜んでどんどん青梅が増えていく。
マズイなんて1㎜たりとも気づかれてはならない。
予断を許さない状況である。
こうして吐きそうになるまで青梅を食べた私はただで吐きそうなのに船に揺られ、逆流を防ぐことで頭はいっぱいで景色どころじゃなくなってしまった。
いかんいかん東洋のベニスを楽しまなくては!
と、必死に青梅の逆流と闘い続けていた。
それでも、余裕のスマイル。
親切な人たちを悲しませてはいけない。
東洋のベニスで願った。
胃よ、早く消化してくれ…
本当に予断を許さない状況でなのである。
一通り楽しんだ後は、ツアーは手のひらを返したように土産物屋タイムに入った。
シルク店では工場に連れて行かれ、どうやってシルクができるのか…繭の段階から工程を丁寧に紹介された。
中国人たちは「うぇーい!」と感動の嵐で皆、こぞってシルク製品を大量買い。
観光にはいかにも邪魔になるであろうくらい大量の荷物だ。
そして、二件目は怪しげな石の店。
ここでも1時間の説明を受けた後、皆感動しながら怪しげな石をお買い上げ。
何の変哲もないように見えるただの石、こうなったらもはや洗脳されているんじゃなかろうかと思うくらいだ。
そういえば、朝このバスが止まると約束してくれた観光スポットに全然行けてないような…
怪しい石はどうでもいいから世界遺産もっと周ろうよ。
私はひたすら体内で青梅を消化しながらボヤいていた。
蘇州、東洋のベニス、船、世界遺産、シルク屋、謎の石屋、そして青梅…最高にエキサイティングな1日。
日が暮れかけた頃、お腹がゴロゴロ音を立て始めた。
完全に青梅の仕業である。
これから高鉄で上海まで帰らなければならない。
予断を許さない状況である…。
思い出に残る蘇州の旅であった。
帰り道、リュックサックに入れた青梅がまさかの汁漏れ。
最初から最後まで…青梅にやられっぱなしである。